思うこと 第105話 2006年6月24日 記
稲盛 和夫氏の訓話に感動して
ーその3ー 道を切り開く
稲盛氏曰く、『瞬間的には自分に不運だったと思えたものが、長い目でみると非常に幸運だったということがあります。』 稲盛氏は、京都の小さな会社で社会人としての第一歩を踏み出したのでしたが、給料が遅配になる、ボーナスが出ない、将来の望みもないという会社であったため、氏は転職も検討したが、氏の家庭環境や当時の社会環境が転職を許すものではなかったので、今の仕事に喜びを見つけようとする心境に自分を変えざるを得なかったとのことである。 その様な心境に切り替えて以来、仕事が面白くなり、どんどん成果もあがり、さらに仕事が面白くなり熱が入るという好循環になり、人生が大きく開けていったとの自分の体験を紹介している。 これは、若者にとっては、かみしめるべき言葉である。
私も同じような経験をした。 私の人生においても、“一見挫折と思われる”出来事に幾度か遭遇したが、その度ごとに、その境遇をむしろ甘受し、前向きに、全力で努力し、自分の人生は結果的にはいい方向に開けてくれた。その3つの例を挙げると、その一つは、医学部卒業後4年目に大学を辞めて去らざるをえない状況になった時のこと(『思うこと 第18話』の中の「再追記」の部分)、2つ目が、『夢追って30余年』のなかの初めから3枚目のスライドの部分で、アメリカにレジデントとして留学する予定をキャンセルせざるをえなくなったこと、、そしてその3つ目が、『夢追って30余年』のなかの終後の19〜20枚目のスライドの部分で、病に倒れ、わが人生もこれで終わりかと思ったこと、の3つである。 いずれの場合も、“一見挫折と思われる”出来事であったが、いずれの出来事も、私の人生をさらにいい人生へと向かわせる転換点となった。
稲盛氏も次の言葉で、この訓話『道を切り開く』を締めくくっている:『もし、最初から好条件に恵まれていたら、今日の自分はないと思います。人生とは長いスパンでみなければ、その真の姿は分からないのです。』