魔女界にプロ野球チームを作ろう!!
第6話「試合終了後…」
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 纏は、シャワーを浴びていた。さゆりの挙動不審が気になっていた。しかし、すぐに今日のピッチングのことで頭が一杯になった。瞳のリード通り投げれたかなどを考えた。彼女も屋上に上がった。タオルを持ってシャドウ練習だ。そこにさゆりがいた。お互いが顔を合わせた。
さゆり「纏さん、あなたも眠れないの?」
纏「そうなんだよ。あたしの部屋エアコンが壊れていてさ、暑くて眠れないだよ。さゆりは?」
さゆり「今日、飲みに行った居酒屋…私の実家なんだ。あの店の社長の娘」
纏「へぇ〜そうなんだ。あたしの実家は寿司屋だよ。わかるよ、店の手伝いとか大変だし」
さゆり「私が子供の頃は手伝いするほど忙しくなかった。母さんは一生懸命頑張ったと思うの。だから、今みたいに…」
纏「だからなんだよ。お前、野球続けるか店継ぐかで迷ってるだろ?自分で好きな方を選んで、親に今の気持ちを手紙で伝えろよ。このままだとプレーに支障が来るぞ」
とピッチャーだから簡潔に言えた。彼女の実家は東京・神田にある。土地柄で男勝りな性格になった。この日は酔ってなかったが、酒癖が悪く纏に酒飲ますな。という若手の寿司職人の言葉があるくらいだった。野球は兄に教えてもらった。
(ちなみにこの時、井原監督は爆睡していた)

 翌朝、Yahoo!BBスタジアムに二人の姿があった。あの夜から、纏とさゆりの間に友情が芽生えていた。
大下コーチ「いったいこれはどうしたこった!?」
大野コーチ「二人の間に友情が芽生えたってことじゃないですか。いずれにしても良いことですよ」

 その日の昼に行われた試合は負けてしまったが、コーチ達には大きな試合だった。井原監督は何も言わなかった。この日は午後から元老院の魔女と会談があった。相手はマジョガエル村の長である。野球チームがあることを最後まで反対していた。星野さんがやり残したのはこのくらいである。大野コーチも同行して野球 の素晴らしさや楽しさを伝えようと思っている。
 その頃、美空市では応援団にどれみとおんぷが入団を申請してきた。応援団の利点は見習いでなくとも魔女界に行けるというもの。おんぷはトランペッターとして、どれみは3回〜7回の声出し担当になり、ジュニアホエールズの会員にもなった。

***

 広島。野球がとても盛んな街である。その南西に位置する小高い山、比治山。その山頂に見慣れないアーチ状の物があった。魔女界への入り口である。広島にも昔は魔女がいた。 しかし、59年前人類史上最大の悲劇が行った。…そう、原爆である。広島の魔女達は人間の身勝手な戦争と核兵器の犠牲になったのだ。
 そして現在は魔女も住まずこのアーチ状の入り口はほったらかしにされ、市の美術館の彫刻の森の真ん中に置かれていた。それを彫刻マニアが眺める物だから、飽きれた物である。次回から、少し過去に戻って広島の魔女の話をしよう。ではまた次回。

特別編『1945広島… 。
本編第7話『擬宝珠負傷!!ホエールズ大ピンチ


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