EROTIC に対して "EROTICA"。
EXISOTIC に対して "EXISOTICA"。
そして CHAOTIC に対して "CHAOTICA"、という訳でしょうか。

CHAOTIC とは、混沌を意味する英単語 "CHAOS" の形容詞であります。
エロチカあるいはイクゾチカといった俗なる風情に混沌というエナジーを合せてしまう。

そこに、トムならではの美学を感じます。





そんなトムの美学は、ここに掲げたジャケットにも良く反映されています。
画が音楽の特徴を、正確に伝えています。

中心の「メビウスの輪」。
これが、テープ・ループを基盤に展開される"CHAOTICA"の音楽軸を表します。

そして周囲を取り巻くのは、色とりどりの帯から成る軌道。
眼の錯覚から、帯をたわんでいるように感じます。

彼の音楽もまた素敵に歪んでいます。
時空の歪みを操る音楽。

それは何ともチャーミングな混沌だと言えましょう。
まさにそれが CHAOTICA なのでしょう。


ちなみに、CHAOTICA の曲は 1985 から 86 年に作られています。
これらの曲の 60% は、かつてカセット Solos 1985-86 に収められました。





このカセットはどうも公式に出版されたものではないようでしたが、
1996 年にめでたく再マスタリングされました。

マスタリングを担当したのは、アンドレ・ネクト。
トムは彼の能力を高く評価していました。


こうして、トムが暖めていた 1980 年代中期のマテリアルは随分時間が経ってから世に出ました。
さすがトムが出版を諦めなかった作品群だけあり、各地で良い評価を受けています。

イギリスでは、ディヴィッド・トゥープが年間ベスト盤に選びました。

リジェンダリー・ピンク・ドッツのエドワード・カスペルも
CHAOTICA に魅了されたひとりのようでした。


日本のレコード屋さんにおいても
"CHAOTICA" は中々良く売れています。



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初稿 2004年8月29日