北岳リベンジ 後編


 キタダケソウを見に、またやって来た南アルプス北岳。今年こそは!と、いき込んできたものの・・・予想外の雪渓に
苦戦を強いられることに・・・


 とゆーわけで後編。







・・・まだ雪渓です・・・


 下山の難易度を考えると、なんとかここで時間を稼ぎたいところだ。とはいえ・・・


どぉ〜考えようが、アイゼンのない状態ではこれより他に手立てがないのであ
る・・・


 肉弾戦で強行突破!!


・・・しかないか・・・




 諦めてソロソロと慎重に進むことにしました。ゆっくり、着実に。

 それでも足が滑る!

 先ほどの雨で、表面の雪が緩んできた。そのため、足の踏み場がアヤシクなってきた。踏み出した足が・・・半足戻っ
ちゃうんですけど・・・。・゜・(´Д`)・゜・。

 ま・・・ますます進まなくなっちゃったじゃん・・・

ぬぅおおおおおおお!
オ、オレはこんなところでグズグズしてられないんだぁぁぁ
ぁ!!!


 と、そのとき


ゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴト・・・・・


 なにやら上から音が近づいてくる・・・


 (・・・ま、まさか・・・)


ゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴトゴト・・・・・


 そいつはガスのかかる行く手から現れた。
 球状とはいえないが、ゴツゴツとした1メートル弱のそいつは、ローリングしながらボクのわき5mほどを下っていっ
た・・・。


・・・・・・・

・・・・

・・




落石だーΣ(゜Д゜!||!)



 ・・・やっぱ、慌てて登っちゃいけないよな、ウン・・・

時間
ポイント
概要
歩行時間
(トータル)
10:40
10:50
一本  二俣を出ること1時間40分・・・やっとコースは雪渓を離
れる。
 つ、疲れた・・・_| ̄|○

 この間、通常であれば1時間ほどで到着可能。40分のオ
ーバーはひとえに雪渓によるものだ。何しろ踏み出した足
が滑って下がってくるのだから・・・まるで富士山の大砂走り
を登っているような徒労感(・・・須走口や御殿場口から登っ
たことのない人にはちょっとわかりにくい表現かなぁ?)。肉
体的にはもとより、精神的にダメージ大。

 しっかぁしその最大の難所は越
えたのだぁぁぁ

 ここから八本歯のコルまでは草木の生えるコースを進
む。あぁ、やっと足場のしっかりしたところを登れる♪・・・
が、すでに体力の大半は使い果たしてしまった・・・
 _| ̄|○

 う゛う゛っ・・・今回山頂はムリっぽい・・・
 1:40
( 3:43)

 ものすごい勢いで降りだした雨は、しばらくして小降りになった。が、降り止むことはなく再び強く降りだした。それか
らは本降り小降りを繰り返し、風もだんだん強くなってきた。

 今日はこのままの天気だろう・・・トホホ(TTへTT)

 でもでもっ!

 だからといって嫌なことばかりがあるわけではないっ!

 ↑シャクナゲ

 大雨の山行はカッパの中で蒸れるわ景色が見えなくて張り合いがな
くなるわ・・・ではあるが、このように咲いている花を見ると挫けていた
心が癒される・・・
(◎ ̄∀ ̄◎)〜♪

 そうだ、今日はキタダケソウを見に来たんだ。別に山頂まで行けなく
ったっていいじゃないか、キタダケソウで癒されよう!!

 ・・・・・・ひっかかるものがないわけではないが・・・・・・

 と腕章をつけた男性二人組が下りてきた。山小屋の関係者か何かだ
ろうか?
 「あ〜、どちらまで行かれますか?」
 「イヤァ、今日はキタダケソウを見に・・・トラヴァース道あたりまで行こ
うかと・・・」
 「あぁ、じゃあ大丈夫ですね。
 今日は風が強くて稜線上はキケンなんですけど・・・トラヴァース道だ
ったらそんなに強くないですから。」

・・・・・・・・・

・・・・

そ、そんなにヒドいんですかぁ?!
Σ(゜Д゜!||!)
11:37 八本歯のコル 通過  八本歯のコルに辿りつく。先ほどの話だと、風が強いとい
うことだったが、こちらはさほどひどくはない。おそらく北岳
から間ノ岳に続く稜線上が風の影響を受けているのだろ
う。

 ううっ、下山の時間が心配だというのに、この上山頂目指
してややこしくなったらバスの時間に間に合わないかも・・・
 いいやもう、山頂は今回カンベンしてやろう!(意味不明)
  47
( 4:30)
ぜえっぜえっ・・・ただいま息が上がってます・・・
 ぐっはぁっ!
 雪渓の後遺症が響いてます。雨も激しいし、もう登る気力はどんどん削がれています。
 よぉし、ホントにキタダケソウ見たら速攻かえろう、今日はもう充分だ。・・・って、
 
 ←うおっ、キタダケソウ?!

 イキナリ目的達成か!?・・・と思ったら、なぁんだハクサンイチ
ゲじゃないか。

 まだ実物を見たことがないから自信はなかったものの、前もっ
てガイドブックで見ていた姿とはちょっと違う・・・
 なんというか、ちょっとつくりが大きいような・・・
 さもありなん、そもそもキタダケソウがこのハクサン イチゲの亜種なのだから、大まかなつくりは似通って いる。

 ・・・といっても、オイラもどう違うのかわかったの は、このあとキタダケソウを直に見てからなのだ が・・・
12:05 トラヴァース道分岐
 通過
 そのまま上へ登れば北岳山頂・・・なのだが、去年失敗し
た経験やガイドブックなどを読んだ様子では、ここから北岳
山荘に向かったほうがキタダケソウに出会える可能性が多
いようだ。
 ・・・まぁ、今回は去年登った時期より1週間分早いから、
北岳山頂に着く前に会えそうだが・・・
これはリベンジである!
 去年、このトラヴァース道をもう少し進めばキタダケソウに
逢えたのにぃぃぃ!
 ・・・と、あんまり合理的でない理由によりうっしゃあは進む
のであった(なんじゃそりゃ?)
   28
( 4:58)
12:19 キタダケソウ発見
キタダケソウハケーン!
 ・・・って、去年断念したところよりちょっとだけ進んだとこ
なんですが・・・_| ̄|○もうちょっと辛抱すれば見れたか
も・・・

 まぁなんですな、こうやって人は大人になっていくのであり
ますよ。・・・30過ぎてますが何か?

 あぁ、やっと目的達成されました・・・(しみじみ)
   14
( 5:12)

 とうとうキタダケソウを見ることができました・・・感無量・・・

 実際に見てみると・・・なるほど、確かにハクサンイチゲとは似ているけど違いますな。

↑ハクサンイチゲ

↑キタダケソウ
 どちらも白い花びらを持ちながら、ハクサンイチゲは先がやや尖った感じのぽっちゃりした形、キタダケソウは少し
ほっそりとして丸みを帯びた先を持っている。
 葉っぱの形状も一方はギザギザが深く、片方は細かくてコチャコチャッとまとまった感じがする。

 どちらもきれいだけど、なんかキタダケソウの方がちっちゃくてカワイイ。

 しかしこの悪天候のせいか、なんだかキタダケソウの方は弱っているように見えるんですが・・・
 開花時期も、ハクサンイチゲよりも短いらしいし・・・

 あぁ、なんてはかない花なんだ!

(ハクサンイチゲが丈夫な花だというわけではないが・・・)
12:26 トラヴァース道復帰
 ・・・・・・・

 実は、キタダケソウを確認して写真撮ったらとっとと戻って
きました。こんな天候ではゆっくり浸ってる暇もありません
から〜〜〜〜!残念ッ!(泣)
撤退、撤退!
てったーいっ!!
   7
( 5:19)
12:50 八本歯のコル 通過  できる限りの最速度で下る・・・といっても、こんな雨の中
出せるスピードにも限界があるが。

 雪渓ではスリップに注意して歩かなくてはならず、一体ど
れだけの時間がかかるか見当がつかない。むやみに焦っ
ても仕方ないと気を落ち着けるが・・・抑えつける一方で気
がはやってしまう。
   24
( 5:43)
13:20 雪渓再突入  いよいよ雪渓再突入・・・ファーストガンダムでモビルスー
ツのまま大気圏突入したアムロもこんな気持ちだったのだ
ろうか・・・

 そんなわけねぇ
   30
( 6:13)
 え〜っと、来るときは富士山の大砂走りを歩いてる気分だったから・・・

カカトから思いっきり足を雪に蹴りいれる!

ズザッ

 おおっ足がめり込んで滑らない!
 よし、この作戦なら・・・

 ズザッ
 ズザッ
 ズッ・・・ガッ! ズズッ・・・

 ぅわああぁぁぁっ、ダ、ダメだ。雪が硬くなったところじゃ足が蹴込めなくてかえって滑る・・・え〜
ッと、え〜ッと、他に作戦は・・・

 あっそうだ、先に歩いた人たちの足跡を辿って・・・えっと、右足がここで左足がこっち・・・あれ
っ?!つ、次は???(汗)
 足元を気にしているうちに、先がどこにあるのかわからなくなる。おまけに不用意に辿ると雪渓
の中心を歩いていて・・・

そんなとこあるくな〜〜〜〜!(泣)

 前方に誰か歩いていればその人のコースを辿って歩きたいところだが、みんな雪渓くだりを避
けたのか、それとも時間が遅いのか、ボク一人、ポツンと歩いている。

 去年、今年とあわせて3回この大樺沢を一人ぼっちでくだったが・・・サスガに今回ほど心細い
と思ったことはありませんでした。
14:20 二俣 通過

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・

 や、やっと二俣に着いた・・・
 まだ下にも雪渓があるけど、残りは今くだってきたところ
ほど傾斜がきつくない。
うっしゃあ、
恥ずかしながら還ってまいりました!
ビシィッ <(`o´゜)
・・・↑敬礼してるつもりです・・・
  1:00
( 7:13)
16:00 広河原 着  二俣越えたらあとはこっちのもんっ!
 あとはいつもどおりにサクサク下りて来れました。
 あれだけ降っていた雨も、雪渓下っているうちにやんでい
たし、広河原に着いたら何ごともなく平穏そのもの・・・なん
だったんだあの天気は・・・
  1:40
( 8:53)


 以上が今回山行の記録である。雪渓に苦戦してピークカットしてしまったものの、念願のキタダケソウは見ることがで
きて目的は達成できた。問題点はいろいろあるものの、まぁ結果オーライではないだろうか?

 しかし・・・今回も課題を残してしまったなぁ・・・アイゼンを忘れてしまったところが準備の甘さだ。

・・・・・・・・

 よし、来週はアイゼン忘れずに来るぞ!



・・・懲りてね〜のかよ!!


おまけ
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