今日は感動的なお話よ!
家の花(名前を忘れました)
引っ越しの朝 わたしも連れてって!
初めての車 お腹のそばにコマちゃん
おとなしくおっぱい飲んで寝なさい
 今のわたしは、ヤスヤンから「ソックス」の教育係に指名されて大忙しなの。
ソックスは相変わらずうるさくて、みんな大迷惑なのよ。
よっちゃんが「コラッー」って怒ると、すぐにわたしが出て行って、
ソックスに猫パンチをして黙らせるの。
「コマ」のことも見なくちゃいけないのにやんなちゃうわ。
早くソックスも猫社会のルールを覚えてほしいわ。

 この間の続きをお話しなくちゃね。楽しみに待っててくれた皆さんありがとう。
 えーと、わたしが名古屋に置いてきぼりにされちゃったところまでだったわね。
その時、わたしはもういつコマが生まれてもいい時期だったの。
だからわたしはとても悲しくて、心細くてヤスヤンが住んでいたマンションの
裏の空家で、ジッーとごはんも食べられずにいたのよ。

 ヤスヤンが東京に転勤でいなくなって、3日目の朝にとうとう子供が生まれたの。
でもわたしは、動く気力もなくて、血だらけで横たわっていたの。
前の日から嵐のような大雨で、雷がなったり風も強く、
4月にしてはかなり寒い日だったわ。
ウトウトしてたら夕方になって、遠くで「マイ! マイ!」って言う声がしたのよ。
そう、ヤスヤンの声! 夢かと思ったわ。
でもわたし動けなくて、どうしようと思っているうちに、時間が過ぎていったの。
何度もヤスヤンとよっちゃんの声が聞こえたわ。

 どのくらい時間がたったのかしら。夜もかなりふけて、声が途切れたの。
ここで出て行かなくちゃ、もう二度と会えないと思って、
必死で横にいた子を1匹をくわえて、塀を乗り越えて走ったの。
マンションの前には見覚えのあるヤスヤンの車が止まっていたわ。
車めがけて、わたしは一目散に走ったわ。
車からヤスヤンとよっちゃんが慌てて走って出てきて、
車にわたしとコマを入れてくれたの。ヤスヤンは「良かった! 良かった!」
ってうれしそうにだきしめてくれたわ。

 わたしは残してきた子が心配だったので、コマをよっちゃんに預けて、
ヤスヤンに「ついて来て!」って鳴いて走ったの。
ヤスヤンもびっくりしながら走って、ついてきてくれたわ。
でも塀が高くてヤスヤンは空家まではこれなくて、塀の前で待っててもらったの。
でも他の子供はもう動かなかった・・・。
わたしはあきらめて、ヤスヤンのところに帰って車に乗せてもらったわ。
コマ1匹でも助かったんだから・・・。

 よっちゃんたら不思議そうな顔をして、コマを見てこういうの。
「これはネズミ? ネコ?」 失礼しちゃうわ! 
よっちゃん生まれたばかりの猫を見るの初めてで、私がおなかを空かして、
ネズミをくわえてきたんじゃないかと思ったらしいのよ。
コマもぐったりして動かなかったんで、もうダメじゃないか、
生きてても千葉まではもたないと思ったらしいわ。

 久しぶりのごはんを食べてから、コマにおっぱいをあげてみたら、
勢い良く吸い付いてきて、たくさん飲んだのよ。
それからは動くようになって一安心。わたしも汚れた体をなめて寝ようとしたら、
車が動き出したんでびっくりして、大声をあげたわ。
ヤスヤンとよっちゃんが「大丈夫だからおとなしくしてて!」
って言ってもパニックになって、しばらくは鳴きつづけたわ。
ヤスヤンがコマをずーと手で温めながら、よっちゃんが車を運転して雨の中、
東名高速を走ってきたのよ。
ごめんなさいね。わたし車に乗るのは初めてで怖かったの。
お家に着いてからのことはまた次回ね。
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