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矯正歯科講座
床副子(しょうふくし)
splint therapy(スプリント)

どんな装置なの?

スプリントには幾つかの種類がありますが、最もよく用いるのはスタビライゼーション型スプリントです。一般的には顎関節症の人の治療で用いることが多いです。一般歯科で処方されるスプリントでは、噛み合わせを少しだけ挙げて、関節の環境を快適にしようという目的で有る事が多いです。

矯正では少し異なった用い方をします。人の顎の関節は不正咬合によってあらゆる方向へ偏位している可能性がありますが、そのために顎関節の問題を起こしていることが多いです。垂直方向に抜け出すような干渉を有する噛み合わせの人は、脱臼グセがついているため、関節の構造(上関節腔、関節円板、下関節腔)がフカフカの状態ですから、ピッチリ収まる状態までシートさせる必要があります。また、関節円板が転位してしまっているようなケースでは咬合位として相応しい場所を何回かの調節で探し出す必要があります。本格矯正前のスプリント治療期間は十分時間をかけて、虫歯の治療、歯周治療などと並行して顎の問題の解決を行いましょう。

さっさと矯正治療を始めたいんだけど、こんな事しなきゃならないの?

早期治療の場合は、まだまだ顎関節の成長が見込めますので、障害を与えるほどのズレが無ければ、スプリント治療をする事もなく観察にとどめる事も多いです。
しかし本格矯正(全顎的なマルチブラケット治療)を行う人について、事前の検査で顎の関節に問題有り と評価された場合は、スプリント治療を行う事がのぞましいです。その他、顎変形症の手術を行う直前に顎矯正が確実に良い結果を出せるよう、術前に使用して頂きます。
自分では関節のズレに気づいてなかった人も、スプリント治療の結果、フワフワした顎運動が、安定してきたり、顎や首、肩などの違和感が消えていく人もいます。実際に使って貰う事で、矯正治療が目指している「良い噛み合わせ」 というものを自分の顎の関節で経験する事になります。

どのように使うの?

使用開始時:1日2-3時間程度 日中使用してみましょう。まず慣れてください。噛み合わせが
  随分異なりますので、顎が疲れるかもしれません。唇が乾くので、リップクリームを塗ると良
  いでしょう。
一週間後:終日の使用に慣れていきましょう。就寝時は必ず使用します。食事中もできるようなら
  スプリントを装着しておきたい所です。
調整:3週間以内の間隔ででスプリントの調節を数ヶ月続けます。その都度の調節は、前歯も奥歯
  も左右差なく噛めるように、プラスチックの表面を調整するだけです。同時に顎関節の位置変
  化をリサーチします。顎関節が安定すると、計測値に変化が無くなってきます。通常で有れば
  3ヶ月程度で安定してきます。
安定後:治療計画に則って、矯正治療に移行します。または、術前矯正であれば外科処置の段取り
  となります。関節の治療だけが目的で有れば、夜間使用を適宜続けて貰います。

もし、使用時間が少ない場合(就寝時のみの使用)では、安定化までの変化が緩やかなので、時間がかかってしまうかもしれません。良い状態へと変化させきれないことも有ります。すでに、円板が肥厚化している場合、骨が変形している場合、正常となるのを待つ事もありますが、6か月〜数年必要になる場合もあり得ます。矯正治療の絡みもあるので、治療期間は関節の環境と相談しながら進めていきます。

注意点

禁止事項:熱いお湯やアルコール消毒は厳禁・ペットに触らせない・落として壊さない
食事での注意:大きいモノは難しい・ゴマ・ナッツ類は、挟まると痛い

会話での注意:なかなか慣れません。数ヶ月の使用で、問題なくなってきます。

変化のある人・無い人・悪くなる人・良くなる人・どうしていくの?

<痛みが取れない・違和感の改善も見られない・むしろ悪くなった>
矯正治療として継続させる意味の多くが無いと言えるでしょう。そのような場合は、顎に起きている問題の噛み合わせ以外の、他の原因を鑑別する必要が有るかもしれません。また、解剖学的に破壊された顎関節は元通りになることはありませんから、思うように症状が取れてこない事もありますが、より症状を起こしにくい環境を作り出すことが目的となります。上手く安定させる事に成功すると、変形した関節が良い形へと変化することもあります。
<最初も今も症状無し>
もし、当初から顎の問題が重大で無かった人はスプリント後も当初と何も変わっていないはずです。

気を付けないといけないのは、スプリントなどで顎位の改善を行い始めた時に、隠された開咬、上顎前突、顎変位といった問題が有った場合、顎位の安静化によってそれらの問題点が顕在化してきます。当初見られた不正咬合は、ほとんどの場合、顎のズレによってカムフラージュされていますから、ズレが取り除かれるに従って遙かに重大な不正咬合へと見た目が変化していきます。「噛み合わせのズレは取り除いたのに、顔は歪んできた」 と言葉にすると随分紛らわしい事態が起こります。その結果、前後、垂直、左右に変化するため「プレート無しでは普通に噛めない」「前歯が噛めない・届かない」「出っ歯がひどくなった・下顎が後ろに下がった」などの変化が現れる人もいます。
しかし、同時に顎の具合がすこぶる良い・顎の周りの筋肉の緊張が取れた・首や肩などの痛み、コリの症状が減った という感触を受けていたとしたら、目標に近づいていると言えるでしょう。
また、過去に前歯で噛めなかったケースでは、急にスプリント上でかみ始めるので、前歯に痛みが生じる事があります。
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