おとずかい
第2章 楽譜を眺める

上高地田代池からの穂高連峰

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音図解もくじ


  1楽譜の部品                      ● 第2章あらましへ戻る
    五線譜
    楽譜の構成
    音符のパーツ

  2楽譜を例にして説明すれば
    例1 喜びの歌(音符と演奏)
    例2 キラキラ星(音符と演奏)

  3覚えていますかこの記号

  4繰り返し記号

1楽譜の部品

 楽譜は五線譜だけではありません。ギターには弦とフレットの位置を示すタブ譜(タブラチュア)、大正琴には音の高さと長さを示す数字譜、三味線には点と数字を組み合わせた譜面があります。
 とらえどころのない音楽を視覚的に示そうと努めたのは西洋音楽に限りません。世界の音楽の記譜法はタブラチュア譜、動機譜、ネウマ譜、表音譜の4つに大別されるそうです。そこには音の出し方や節まわしをいかに伝えるかという思いと知恵が反映しているのでしょう。文字や数字や記号が使われたのも演奏者のためではなかったはずです。
 マニュアル車からオートマ車、あるいはブラックボックス化したパソコンに慣れた現代人には五線譜も過去の遺物になるのかもしれません。知らなくても操作し利用できる時代に楽譜など読めなくても和音を知っていれば演奏できる。そんな思いがわたしにもあります。
 西洋音楽だけが音楽じゃない! そう考えつつもどっぷり漬かっていて雅楽ほほとんど知りません。音の高さと大きさと拍(ビート)に定着させ時間の流れでとらえる西洋音楽の定量的とらえ方に親しみを感じる始末です。ギターの弦の並びとまったく逆並びの五線譜に戸惑いながら眺めるのもおもしろいものです。

(1)五線譜

 音の高さや流れを示すものです。 線・間・上・下の区別があります。【図2-1】
  @区切り  小節、縦線(小節線)、複縦線、終止線
  A音部記号 五線上の高さを示す記号。ト音記号、ヘ音記号、ハ音記号
  B音符の種類と長さ  全音符、2分音符、4分音符、8分音符、16分音符など
  C付点音符 1/2、1/4と増加する
  D連符   ある音を1/3以上にわけること。上か下に数字がつく。
  E休符の形と長さ  休符も音符のひとつ
  F音名   幹音、派生音、異名同音
  G変化記号の種類  ♯(半音上げる)、♭(半音下げる)、ナチュラル(元に戻す)
          
           

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(2)楽譜の構成   

 これがなければ譜面じゃない【図2-2】
  @音部記号 ト音記号(高音部記号)、ヘ音記号(低音部記号)など
  A調号   長調と短調に♯1〜7、♭1〜7、何もなしのCやAm調など
  B拍子記号 数字(分数の横棒はいらない)または¢(2/2)、C(4/4)
  C音符   オタマジャクシの遊泳。原則的に小節の中の音符は拍子に一致する

           
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(3)音符のパーツ名【図2-3】
  解説書によって呼び名が変わります。

  @たま・あたま(符頭=ふとう):音の長さ
  Aはた(符鈎=ふこう):音や拍の速さ
  Bぼう(符尾=ふび):符頭と符鈎をつなぐ。音の高さで向きが変わる
  Cてん(付点):長さの追加(1/2、1/4・・・)

            

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2楽譜を例にして説明すれば:喜びの歌とキラキラ

 楽譜は同じ音が何度も繰り返されます。そのパターンを見つけて口ずさんで慣れるのが手っとり早いようです。 楽譜にアレルギーを持っていたときはまったく気がつきませんでしたが音楽は反復して印象を高めるようです。そこでどんな音楽解説書にも必ず登場する2曲を楽譜付きで説明します。プリント・ミュージックで作成した音楽ファイル(mp3)を参考にしてください。

 例1 ベートーベンの≪喜びの歌≫ 【図2-4】
  原曲はベートーベン作曲の交響曲第9番の一部で年末に思い出されるようです。
  わたしは中学時代の音楽の時間に口ずさみました。

  [前半]ミミファソ ソファミレ ドドレミ ミレレ
  [後半]ミミファソ ソファミレ ドドレミ レドド

       
                音楽ファイル   yorokobinouta.mp3 (クリックしてください)

 この曲は前半の4小節と後半の4小節は四分音符がまったく同じです。違いは付点四分音符がミからレに、八分音符がレからドへ、そして二分音符がレからドへ変わるだけです。
 いわゆるAーA’のパターンです。そして、音程はドからレの7度の範囲ですから滑らかに口ずさめます。細かいことを言えば同じ音が繰り返され、2度移動で上下に進行しています。

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 例2 フランス民謡≪キラキラ星≫ 【図2-5】
 こどもの歌に登場する割に、唱歌や童謡ではなぜか取り上げられないのがフランス民謡のキラキラ星です。もとは18世紀末のフランスのラブソング「あのね、おかあさん」だそうですが、いつの間にかTwinkle,Twinkle、Little,Star(きらめく小さなお星さま)に変わり、日本語詩も武鹿悦子、村野四郎、堀野真一、薮田義雄などがあるそうです。
 例に取り上げる楽譜は春畑セロリ監修「やさしくわかる楽譜の読み方」(ナツメ社)のものです。この本はCDがついてわかりやすく、キラキラ星の豊富なアレンジだけでもあきません。ともあれ、オクターブを変えた表記ですがあわてないでください。

  [1行目]ドドソソ   ララソ  ファファミミ  レレド
  [2行目]ソソファファ ミミレ  ソソファファ ミミレ
  [3行目]ドドソソ   ララソ  ファファミミ  レレド

     
                   音楽ファイル kirakirahosi2.mp3 (クリックしてください)

 よくみれば1行目と3行目はまったく同じ音符の繰り返しです。また、2行目は2小節がまったく同じです。ドドソソの出だしは3度の跳躍進行ですが、その他は2度の順次進行です。楽譜は休符をはずし、前の音を二分音符に変更しました。

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3覚えていますかこの記号【図2-6】

 ワープロで音符と変換すると♪しか出てきません。?(四分音符)、?(八分音符の連鈎)、?(16分音符の連鈎)は「環境依存文字」ですから楽譜作成ソフトで使うと文字化けします。
 ローマ数字も環境依存文字ですからこの文章もけっこう文字化けしているでしょう。
 音楽の記号もそれに似ています。好きな人には当たり前でも関心がない人には何が何だか分からない記号です。
 音楽の記号と標語はたくさんあります。イタリア語で表す速度記号や標語を並べたらきりがありません。
 ここでは五線譜の中に出てくる記号にしぼってまとめました。
 
  @音部記号 ト音記号、ヘ音記号、ハ音記号など楽器に応じて多数あります。
  A変化記号 シャープ、フラット、ニュートラル、ダブルシャープ、ダブルフラット
  B拍子記号 分数表記(横線は不要)と¢(セント=2/2)、C(4/4)
  C音符   全音、二分、四分、八分、十六分、三十二分
  D休符   全音、二分、四分、八分、十六分、三十二分  
  E連鈎(れんこう) 同じ拍子の音符をくくったもの。
  F連符   ある音を分割するもの。上や下に分割する数字がついている。








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4繰り返し記号:ルールを無視すると迷路にはまる

 どんな楽譜にもつきまとうのが「繰り返し記号」と「省略記号」です。
 あらましでもふれましたが、ゴチャゴチャさせずに楽譜をすっきりさせるためのデフォルメです。
 2でふれたように楽譜は同じ音符や休符が繰り返して用いられます。
 楽譜の迷路にはまらないようにしたいものですね。

 (1)主な繰り返し記号
  @反復記号  終了線にコンマを付けた記号ですが、開始の記号を付けたものもあります。
  Aダカーポ(D・C)  「始めに戻る」ことです。
  Bダルセーニョ(D・S)「セーニョに戻る」ことです。
  Cフィーネ(Fine) 「終り」のことです。
  Dフェルマータ     「止まる」ことです。

 (2)進行パターン【図2-7】
  元の図は「楽典♪音楽理論の基礎」から引用しました

  @反復記号(終りだけ)で2度繰り返し
  A区間指定の反復記号で繰り返し
  B終りの順番指定(1、2)で繰り返し
  C区間付き反復記号と順番指定(1、2)の繰り返し
  Dダカーポで初めに戻って、Fineで終わる
  Eダルセーニョでセーニョマークへ戻り、Fineで終わる
  Fダカーポで初めに戻り、toコーダの区間をパスして、コーダから終りまで繰り返し。

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