沼津あれこれ

2005/03/16 ズボラな店名とのんきな店長




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 大瀬崎に出向いて山の中にある喫茶店に入った。店の名前しか記されず、商売気が欠ける。少し下には観光客目当てのケバケバしく色を塗りたくったり、見た目は立派な建物が多い。

 板を並べた階段を登ると入口が分からない店がある。いまどき珍しい引き戸だから思わず引き返そうと思った。それも癪なので店内に入るとすき間風が吹き込む。

 奥に進むと富士山がよく見える。木々の間に海も見えて写真の構図としても面白い。せっかくの景色をもっとアピールしてもよさそうなのにその気はないようだ。セルジオメンデスのボサノバや70年代初頭の曲が流れるのも古くさい。

 手作りのメニューを眺めると、「店長は昆虫好きのため殺虫剤等を撒いていない」とある。これじゃ家の子どもは近寄らないだろう。蚊が入ってきただけで大騒ぎするから二度と出向かないはずだ。

 店名の「アザセボラ」が気になって訊ねると字名の瀬洞をそのまま使ったという。ストーブの近くに座ってもすき間風が冷たい。店の内側に透明なビニールが貼ってあるが雑にくっつけたままだ。

 若い店長は商売気が欠けるものの話し掛ければ気さくな人柄である。景色も懇切丁寧な説明をする。ズボラでのんきは伊豆人の気質だろうか。私も三代前をたどれば近くの場所で育ったから似たようなものだろう。

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