たかがクルマのことだけど
クルマはアマチュアドライバーに操られる
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先日古本屋で買ってきた『運転事故の定石』(林洋指導、渡辺陽一郎+ベストカー特別取材班、三推社・講談社、2002年)を読んだ。交通事故鑑定人が事故が起きやすい場所をとり上げているから参考になる。
今回のタイトルはこの本の小見出しから抽出した。「一般のクルマと公共交通機関との違い」というサブタイトルもついている。飛行機や大型船舶の運転は専門知識が求められ、個別の運航管理がされるが道路はそういうことがない。また、バスやトラックはプロが運転するもののアマチュアがクルマを操作するところに「情緒的」になりやすい資質や技術未熟者がいるという指摘はまとをえている。
プロとアマの意識の違いは運転にかぎらない。生活がかかっているプロと遊び半分のアマとでは技術だけでなく取り組む意識に差があるはずだ。気が乗らなかったり、天気が悪ければ運転しないアマチュアにプロ意識を求めても無理がある。私だって点検や修理は専門家まかせだ。まれに長距離運転をしても毎日続けたら身体がもたないだろう。
安全、確実そして正確に運行するためには感情を押えて、状況に応じた判断と技術が求められる。だが、アマチュアの向上心といってもそれは見栄が伴った技術だろう。速く走る、かっこよく曲る、ぴたりと止めるなどは枝葉末節である。そんな情緒的な振る舞いが無理が出るもとだろう。
ともあれ、我々が使っている道路には「小学校1年生のような初心者ドライバーも一緒なって管理されることなく情緒的に走らせているわけだから、一般道路上は公共交通機関とまったく逆な状況になっている」(p15)。そういう現実を直視してクルマを利用するしかないだろう。
向上心や技術知識を持たず、簡単に操作して移動できる道具だと思い込んでまわりを無視して安易にクルマを扱うのが我々アマチュアドライバーである。だからといって、正当化する気はない。そういう情緒的なドライバーに関わらず、自分もならないよう努めるしかないようである。
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