2007 ペルー旅行記


4.リマ観光 その2

 翌日、ペルーに来てから初めてJさんとふたりだけの時間を持つことにした。そうしなければ、精神的にまいってしまうような気がした。それはJさんも感じていたようだ。ふたりだけの散歩に誘ったのは彼女からだった。ふたり、徒歩で家を出た。始めはセントロに行きたかったのだけど、治安があまりよくないということでミラフローレスに向かった。この旅で初めて自分たちだけのゆっくりと流れる時間を持ち、気分も少しよくなった。

 屋台でインカコーラを買い、それを飲みながら海に向かった。歩きはやっぱりいい。ゆっくりと周りの風景を愉しめる。海岸へと続く石畳の道をゆっくりと降る。久しぶりの開放感が体の奥から広がっていく。そうなのだ、本当はこんな旅がしたかった。

 浜辺には完全に降りないで、以前行った海岸線にあるモール、ラルコマールに行った。ここで昼食をとろうと思ったのだけど、また僕の「何も食べたくない病」が始まり、あっちに行ったり、こっちに行ったりした挙句、中華レストランに入った。チャーハンなら、それほど酷いことにはならないだろうと思って注文したが、これが酷かった。卵は卵白しか使われておらず、それから立ち上る油の臭いで食欲がなくなるどころか、吐き気までする始末だった。何とか我慢して少しでも食べようとしたのだけど、三分の一もお腹に入れることができなかった。

 モールを出た後は海岸線に沿って歩いた。途中に男女が抱き合っている巨大な石造が鎮座する公園があった。ベンチもカラフルなタイル張りで花の模様といろいろな言葉で埋め尽くされている。「Parque del amor」、恋人たちの公園という名前の公園だ。

 さらに海岸線を北上するとハングライダーの基地があり、きれいな芝生の上に色とりどり、セールが開いている。しばらく見ていると上手い人と下手な人の違いがわかってきた。うまい人はセールをきれいに直立させることができるが、下手な人はすぐに倒れてしまう。そういう人はインストラクターがついて、繰り返し練習をしていた。

 少しのところに灯台が見えた。そこまで歩いていく。この灯台を含む公園は設計がよく、リマ市から表彰されたという。途中で小さな男の子が近づいてきて、何かJさんと話している。持っているチョコレートとかキャラメルを買ってくださいと言っているらしい。話し方が礼儀正しいのでキャラメルをふたつJさんは買ってあげた。見ていると、その子は公園の中の道を歩いている人に次々と声をかけていたが、売行きはよくないようだった。

 大した距離を歩いたわけではなかったが、それまで寝てばかりのダレた日々を送っていたのでかなり疲れてしまった。夕食も外でとろうということだったが、どうも食欲がわかない。それで、とりあえず喫茶店のようなところでコーヒーだけ飲んで食事は家でということになった。

 オープンカフェの店に入って、カフォ・コン・レーチェと注文した。ペルーでただカフェと注文してしまうと、それはブラックを意味してしまう。ミルク付きのコーヒーが飲みたい場合はこのように言わないとだめなのだ。

 近くの公園では民芸品の露天販売が行われていて、その関係なのかもしれないけど、民族楽器を持った流しの青年がやってきて演奏を始めた。ペルーの民謡なのだろうか、寂しげなメロディがカフェに流れた。疲れていたので、その旋律を聴いていると、妙に気持ちが落ち着いた。数曲、演奏を終えると流しの青年は少ない客の間を回り始めた。僕たちのテーブルに来たとき、Jさんがチップを渡した。

 店を出て民芸品の露天をのぞき、疲れていたけど、暗くなった道を家まで歩いて帰った。(2007.10.7)


―つづく―


TOP INDEX BACK NEXT