北海道旅行記 2005


キムアネップ岬

 8月4日、朝9時にテントの撤収を終え、天塩川温泉を後にした。国道40号を南下し、美深でコンビニに入り、お握り2個を買った。これが今日の朝食だ。

 国道40号で名寄まで行き、そこから国道239号で東に向い、オホーツク海に出る。興部の道の駅で休憩し、おこっぺアイスのバニラ味を食べた。北海道のアイスはミルクたっぷりという感じで、ほんとにおいしい。朝は多少曇っていたのだけど、この頃にはもう快晴に近く、汗が吹き出てくるくらい暑かった。

 興部からは国道238号でオホーツク海沿いをひたすら南下、紋別市内に入った。ちょうど昼時だったのだけど、何故か、洋食が食べたくなり、国道から外れて市街地に入ると、運良く小さなレストランを発見した。

 お昼ちょっと前のため空いていて、メニューを見ると洋食だけでなく、冷やし中華などもやっていた。ちょっとがっかりしたが、オムライスとコーヒーを頼んだ。たいへんおいしく、今度は得した気分になったのであるが、時計が12時を回ると次から次へと、お客がやってきた。

 ほとんどが近くで働いている人たちのようで、スーツ姿のサラリーマンが連れ立って入って来たりした。これは、地元の人気店なのではないかと思ったが、確かにそのようで、そのうち近くの主婦らしい人々もやってきて、ほとんど満員になってしまった。

 広い席をひとりで占領しているのが、何だか悪いような気分になり、もうちょっと食事の余韻を愉しみたかったのだけど、コーヒーを飲み終え、そうそうに店を出た。

 僕は何故、洋食の店に入りたくなったのか?それは食後にコーヒーを飲んで、旅情に浸りたかったからかもしれない。前にも書いたけど、旅先で飲むコーヒーは‘自分は今、旅をしているんだな’ということを意識させる。

 上湧別で野菜などの買出しをした後、今日のキャンプ地であるキムアネップ岬に向った。まだ時期は早いのであるが、この辺りはサンゴ草の群生地らしく、その季節になったらさぞ美しい光景が見られそうだと思った。キムアネップ岬は草花に囲まれた静かなところだが、難点は蚊が異常に多いということだろう。テントの設営も蚊を追い払いながらしないといけなかった。

 駐車場のところでぼんやりしていると、オンロードバイクに乗った人がやって来た。始めは、このキャンプ場に泊まるのかと思っていたのだけど、ただ立ち寄っただけで、今日は知床の羅臼まで行くという。宿を予約しているため、もう4時を過ぎていたが、そこまでは行かないと…と言った。
「昨日は何処で泊まったんです?」と僕が訊くと
「富良野です。ちょっと無謀な計画でした」と笑った。
「それは、かなりきついですね。何キロくらいだろう?」
「450キロくらいはあるんじゃないでしょうか」

 彼は予め、宿泊地を決め、宿を全て予約していると言った。キャンプで気ままに旅している人に対する羨望のようなものが感じられた。バイクを洗っている彼を残してキャンプ場に戻ると、管理棟から管理人のおばさんが出て来て、凍ったみかんを2つくれた。そのひとつをバイクを洗っている彼に持っていった。長い距離を走って、疲労も溜まっていたのだろう、うれしそうに受けとってくれた。

 彼に別れを行って、炊事棟で足を洗っていると
「ここに泊まるの?蚊が多いわよ」と駐車場に止めてあるキャンピングカーのおばさんに言われた。彼女は炊事棟からひもを張り、洗濯物を大量に干していたので、できれば、あまり人に来てほしくなかったのかもしれない。しかし、ロケーションとしてはいい場所なので、次々とキャンパーはやって来る。

 あまりの蚊の多さに、管理棟の中で休んでいると
「セローのオーナーさんですよね?何日か前に稚内の森林公園にいませんでしたか?」と若い不精髭を生やした坊主頭の男性に言われた。ちょっと気持ち悪く思い、
「うーん、いたかもしれない」などと言葉を始めは濁してしたが、話してみると変な人ではなかった。大雨のせいで南下が、遅れたらしい。
「蚊が多くて、困るね」などと話していたら、管理人のおばさんに聞えたらしく
「ここは9時まで開いてますから」などと言われてしまった。

 夕食の準備をするまでにはまだ間がある。キャンプ場内にある原生花園の歩道を歩いた。きれいな草花が生えていて、しみじみとした気持ちになる。

 夕食は暮れゆく夕陽を正面に見ながらのものとなった。ほんとにいい場所である。蚊さえこんなに多くなかったら…。つづく…(2005.9.21)


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