北海道旅行記 2001 その12


緑のトンネル

 静内のビジネスホテルの朝食はよかった。バイキング形式になっていていろいろなものが食べられる。果物もメロンやパイナップルが出たりして豪華だった。今までほとんどパンと缶コーヒーの朝食だったからすごい落差だ。朝からメロンが食べられるなんて思ってもみなかった。最後にコーヒーをゆっくりと飲んだ。体の中に力が湧いてくるような気がする。  さて今日のコースだ。このまま室蘭に直行してしまうのもちょっと寂しい。地図を見て、支笏湖の北五条林道を走ってみようと思った。ここは7キロにも及ぶ直線のダートがあり、走ってみたかったのだ。前に1回行ったことがあるが、その時は支線に入ってしまったようでその直線ダートを体験することができなかった。

 曇ってはいるが心配だった雨は落ちていない。新冠、門別と過ぎ苫小牧に入った。いつ来ても苫小牧にはなじめない。工業中心のような街で大型トラックが多く、それがまたかなりのスピードで走っているため緊張してしまう。それに空気も北海道の中では悪い。落ち着ける場所もないし、早くこの街は抜けたいといつも思ってしまう。苫小牧から支笏湖に向う国道276号に入った。

 天気は苫小牧に入ったくらいから急によくなって晴れ間が広がってきた。北五条林道の入り口は前に来たことがあったのですぐにわかった。後は中でこの前のように迷わないことだが、何とところどころに標識が付いていた。これだったらいくら支線が多くても道に迷うことはないだろう。いくつかコーナーを過ぎるとついに直線コースが目の前に現れた。路面の状態もたいへんいい。両脇から木々が覆い被さっていてまさに緑のトンネルといった感じだった。それにしても7キロの直線というのは長いものだとつくづく思った。アップダウンもなくフラットな路面が延々と続いた。入り口はよかったのだが、出口で道に迷ってしまった。どうもこのまま走っていたらとんでもないところに出てしまうような気がしたのでもと来た道を引き返すことにした。緑の直線コースをもう1回走って見たかったというのもあった。

 林道から出て時計を見るともう12時を回っていた。かなり長い時間、道に迷っていたようだ。支笏湖畔のラーメン屋で昼食ととった。ここは小さな店だったが、店の壁にはここを訪れた旅人達の寄せ書きがびっしりと貼られていた。旅人の中では結構有名な店なのかもしれない。味噌ラーメンを注文したが、味が辛くそんなにおいしくは思わなかったが、主人は面白い人だった。家は苫小牧にあるようだが、苫小牧は何もない街を嘆いていた。僕が苫小牧について思っている感想とほとんど同じなのが面白かった。

 さあ、もう室蘭はすぐ近くだが、フェリーが出航するまでにはまだまだ時間がある。どのコースを通って室蘭に行こうか?とりあえず支笏湖南岸の国道276号で大滝村にはいり、道の駅で休憩した。また空は曇りだし、特にオロフレ峠方面はかなりガスっているような感じだ。オロフレ峠は霧が出てしまうともう何も見えなくなる。道道86号で白老に行くことにした。白老に近づくにつれだんだんと天気は悪くなっていった。途中で三段滝を見物したりした。ホロケナシ駐車場にはいろいろと白老の観光名所の案内があった。白老もいろいろと見る場所があるようだ。まだ行っていない白老港に行くことにした。ここには展望台もあるようだし、落ち着ける場所だったらのんびりしてもいいなと思った。

 白老港の展望台はそれほど景観がいい場所でもなかった。ただもし夜になったらロマンチックそうな場所ではあった。僕のほかには年老いた母親と息子を思われる2人連れが来ていた。息子と思われる男性が年老いた母親と思われる女性の手を引き、展望台の上でゆっくり歩いたり立ち止まりながらいろいろと説明していた。ワンボックスで回っているようだ。自分の母親のことを思い、心が痛んだ。僕は親孝行というものをした記憶がほとんどない。

 ここからはもう立ち寄るところはない。室蘭まで一足だ。室蘭に近づくにつれ、急速に天気は回復してきた。室蘭に着いたのは4時。フェリー出航までにはまだまだ時間がある。天気も旅の最期を祝福してくれているように快晴になった。室蘭では昨年も回った祝津展望台に行った。そのには茨城から来ている一家がいた。おやじさんがオフロード、息子さんがオンロードに乗っているとの話で僕がバイクで旅しているのを見て話かけてきてくれたようだ。同じ今夜出航のフェリーに乗るとのことだ。その後は絵鞆岬に行った。

 室蘭の道は狭く急坂が多い。ここは大昔アイヌの砦があったところらしいが今は静かな公園になっている。近所の人が気軽に子供を連れて遊びにきていた。こんなすばらしい場所が室蘭では普通の子供も遊び場になっているのだ。本当に豊な環境だと思った。最期に道の駅近くにある公園に行った。ここも静かないい場所でのんびり過ごすのには最高の場所だ。海が目の前にあり、太陽の陽が海面の反射しキラキラと光って美しかった。(つづく)


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