北海道旅行記 2001 その6


ダートラン

 R241で足寄方面に向った。天気は本当にはっきりしなくて、寒い。本当に夏なのだろうかと思ってしまう。お腹はカイロがあるので温かかったが、体が冷えてきて寒くて仕方ない。温泉に入って全身を温めたくなってきた。一番近いのはオンネトーの近くにある雌阿寒温泉だ。11時くらいに雌阿寒温泉にある野中温泉別館についた。ここの温泉は昔ながらの鄙びた感じの木造の湯船で外には露天風呂もある。木造の年季が入った湯船にゆっくり体を静めるとじわーっと肌から体の内側にやさしい温もりが伝わってくる。とても気持いい快感が体全体に広がり、冷え切って固くなった筋肉が柔らかくほぐれていくような感じだ。体が解凍されているような気がする。だいぶ体が暖まったので今度は露天風呂の方に入ることにした。露天風呂の方はやや温度が低く何時間でも浸かっていることができそうだったが、しばらく入っていると体がちょっと寒くなってきたのでまた内湯のほうに入った。

 阿寒湖の横を通り過ぎ、R240との分岐あたりにちょうどいい感じの食堂があったので入った。メニューはいろいろあったがとにかく体を温めたかったので味噌ラーメンを注文した。おやじさんはあまり感じがよくなかったし、ラーメンもあまりおいしくはなかった。店の外見はおいしそうな感じがしたのにちょっと損した気分になった。ところが店を出て出発しようとすると陽が差してきた。実に久しぶりに見る太陽だ。だんだんと気分が高揚してきた。

 R241から阿寒公園鶴居線に入った。この道はよく整備されたダートで大変走りやすかった。鶴見峠からは阿寒湖と雄阿寒岳がよく見えた。天気がよくなり、眺望もうつくしかった。やがてR274に出た。ここでかなり悩んだ。予定では鶴居村のキャンプ場に泊まろうと思っていた。近くに温泉もあるし、早くテントを設営してこの温泉でのんびりしようと思っていたのだが、天気がよくなった今、もっと走りを楽しみたくなってきたのだ。このまま鶴居村のキャンプ場に行けば3時にはもう温泉に浸かれそうだったが、何か物足りないような気もしてくる。一時は鶴居のキャンプ場に向ったが、コースを変更することにした。弟子屈まで走りそこで泊まり、余裕があったら屈斜路湖畔の林道も走ってみようと思った。

 弟子屈ではどこに泊まろうかと悩んだが、昨日ほとんど一睡もできなかったから、今日は安い宿にでも泊まって蒲団の上でゆっくり眠ろうと思った。とりあえず弟子屈の駅まで行き、駅で宿の情報を手に入れ安そうなところに電話した。宿はすぐに決まった。中年のおかみさんが独りで切り盛りしているようだった。どうやらこの付近の現場で働く人達が長期滞在しているようだ。宿に着き時間を見るとまだ4時ちょっと前だった。屈斜路湖まで行けそうだ。これだったら屈斜路湖のキャンプ場でもよかったなとこの時は思った。だが宿で正解だったのだ。

 屈斜路湖に着き、湖畔の林道に入った。ここも大変よく整備されていて走りやすい林道だ。常に屈斜路湖が見えているわけではないが、たまにその湖面が間近に見るとことができた。だた時間がもう少し早ければよかったと思った。もうかなり暗くなってきている。とその時、えぞ鹿の親子が目の前に現れた。僕の姿を見ると親鹿はすぐに茂みに逃げてしまったが、小鹿の方は道沿いに逃げ出したためしばらく僕が追いかけるような格好になってしまった。しばらく追いかけっこをしてやがて小鹿も茂みに姿を隠した。野生動物の活動時間は早朝か夕方が多いようだ。前もパンケニコロベツ林道を早朝に走って鹿の親子に遭遇したことがあった。たまたま遭遇したのが可愛い鹿だったからいいが、もし熊だったらと考えると怖くなってくる。

 反対側から1台の車がやってきてちょっとその不安は薄らいだ。車が通ってきたのなら熊も奥の方に入っているのではないかと思ったからだ。林道の最後も部分は通行止めになっていて別の林道へと繋がっている。この林道は道幅もちょっと細く、路面の状態もややガレ気味だったが、それ程長い距離ではなかった。やがて舗装された道々102号線に出た。もう陽は大きく西に傾いている。腕時計を見るともう5時30分を回っていた。帰りに国道391号沿いのセイコーマートで夕食の弁当と翌日の朝食を買った。昨日と違う弁当を選んだつもりだったが、宿について開けてみるとどうも同じものを選んでしまったことに気づいた。(つづく)


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