プレミアム・フライデー

 午後3時で仕事を終えて、週末をゆっくり過ごそうと始まったプレミアム・フライデーだけど、もちろん、ウチの会社には全く関係ないばかりか、思わぬトラブルまで生じてしまい30分の残業になった。思わぬトラブルについては、また次回ということにして、実はこの日、横浜で義姉と待ち合わせをしていた。約束の時間に30分ほど遅れて待ち合わせ場所に着くと、義姉も今来たばかりだという。やはり、仕事が伸びてしまったということだった。

 待ち合わせをした理由は、ペルーに持っていってもらうパソコンを渡すためだった。このパソコンはペルーにいる妻の2番目の姉から頼まれ、昨年、妻が買っておいたものだった。妻がペルーに持っていくはずだったが、何でもペルーではパソコンの持ち込みは1台までで、2台持っていくと罰金をとられてしまうという。そのため、甥っ子の荷物にしようと画策していたのだが、彼も自分用のパソコンを持っていたため、成田空港で僕が引き取り、来週ペルーに出発する義姉に頼むということになったのである。

 義姉にパソコンを渡した後、「コーヒーでも飲みに行かない?」と誘うと、「食事は?」ということになった。義姉の夫フェルナンドの夕食のことを訊くと、「うなぎが買ってあるから大丈夫」ということだった。ただ、フェルナンドはペルーにいた頃、レストランで働いていたこともあるので、食事に関してはほとんど心配はいらないのである。

 横浜駅から、みなとみらいまで行き、食事をとった。プレミアム・フライデーということで、何かサービスがあるかもしれないと期待していたが、通常通りの営業だった。よく、考えてみると、義姉とふたりきりで食事をするのは、初めてだった。

 実は、二人きりで会うことに、多少の心配があった。それは、話が弾むというより、続くかな?ということだった。僕は、それまで義姉に、何となく怖いイメージを持っていて、端的にいってしまえば‘苦手’だったのである。だから、パソコンを渡して、すぐに帰ろうかとか、義姉の住んでいる平塚の家までいって、フェルナンドも含めて三人で会った方がいいのではないだろうかとか、いろいろと考えていた。

 ただ、パソコンだけ渡して、すぐに帰ってしまうというのは、あまりにもそっけないし、平塚行きは義姉に用事で横浜に行くからといわれてしまえば、そちらの方がお互い都合はよくなるわけで、諦めるより仕方なかった。

 いろいろと心配したが、結果からいうと、話は弾み、2時間近くおしゃべりをした。みなとみらいという場所もよかったかもしれない。妻の幼いころの話など、面白い話をいろいろと聞くことが出来た。二人きりということを、心配していたのだが、それがよかったのである。

 二人きりなら、会話のキャッチボールは、自然と行ったり来たりということになり、話題さえあれば、話は続くのである。話題に関しても、義姉はペルーに行く直前だし、食事をしている場所は横浜なのだから、話のタネはいくらでもある。また、今は「家に帰っても独り」という状態で、話相手がいないものだから、寂しさもあったのかもしれない。

 9時過ぎに、家に着いた。当然、家には誰もいないから、真っ暗だった。何となく、お菓子が食べたくなり、家に入らず、近くのドラッグストアまで、買いに行った。(2017.3.3)




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