たて続けの発熱

 家を購入したパーティーをすることになった。中古住宅ではあるが、新居祝いである。日本にいる妻の親戚に連絡をして、出欠をとると20人くらいが来ることになり、準備のため、一週間前から、お酒や料理で使う食材、子供たちのおもちゃなど、買い出しが続いた。その週の月曜日から、僕は風邪気味になり、日に日に具合は悪くなっていった。

 そして、土曜日、午前中に新しい冷蔵庫が運ばれてきた。冷蔵庫の設置の終わった後、パーティーで出す料理の仕込みを行った。このあたりから、体が熱っぽくなってきた。仕込みを終えた後、体温計で熱を計ると37.5度あったが、この日の夕食の食材と明日のパーティーのビールとおつまみを買いに行かなくてはならず、スーパーに向かった。スーパーは家から十分ほどのところだが、急坂があり、重い荷物を持っての上りは辛かった。

 家に戻り、体はだるかったが、妻と二人分の食事を作り、食べ終えたくらいに妻から「荷物が重いので、バス停まで向かいに来て」とメールが入った。しかし、熱は38度を越え、とても急な坂道の上り下りはできそうになく、「熱が出たから、無理」と電話を入れると、何とか一人でも運べそうだというので、明日に備え僕は二階で横になった。

 横になっても体は一向に楽にはならず、熱はさらに高くなり、39度近くまで上昇した。妻は遅くまで一階で、明日のパーティーの準備をしていたが、僕はその物音を聞きながら、うつらうつらしていた。ただ、仕込みをした料理をどうしようかと、そのことが脳裏に過った。

 翌朝、暗いうちから目が覚めたというより、高熱により熟睡できず、うつらうつらとした状態が続いていたので、起きることにした。熱はまだかなり高そうだが、仕込んでおいた料理を完成させようと、一階のキッチンに下り、作業することにした。一時間くらいで、味付けを終え、再び、床に戻ったが、やはり熟睡することはできず、浅い眠りで、何回も目が覚めてしまう。

 9時を過ぎたくらいに妻は起き出し、パーティーの準備を始めたが、僕は全く手伝うことができなかった。朝のうち、やや下がっていた熱が、また高くなり始めたのである。2時過ぎに始めのお客さんである妻の姉のカズエとその息子のタカシが来たが、結局、僕が挨拶で来たのは、この二人だけで、あとは子供たちの「もういいかい?」「まーだだよ」というかくれんぼの声を聞きながら、二階の和室で夢と現実の境界を行ったり来たりしていた。

 お客さんがみんな帰った夜の10時過ぎ、妻が夕食を取らせるため、起こしに来た。料理を一口、口に含んだのだが、体が受け付けてくれない。胃が全く、動いてくれない感じだった。無理して食べると吐いてしまいそうで、結局、ほとんど何も食べられないまま、眠りに着いた。

 翌日は、会社を休んだ。昨夜は全く何も食べることが出来なかったが、この日は朝から少しではあるが、食物を取ることができるようになっていた。熱は、思いの外、早く下がり、夕方にはほとんど平熱に戻り、夕食はほとんどいつもと同じくらいの量を取ることが出来た。

 会社は、一日休んだだけで済んだ。しかし、普通なら、徐々に体調も戻るはずだし、実際に回復していたのだけど、次の週の火曜日、再び発熱してしまった。

 この週は月曜日から、あまり体調はよくなく、通勤電車の中で立っているのに目を開いていられないほど、疲れが溜まっていた。日曜日に部屋の模様替えをしたとき、かなりの汗をかいたのだけど、着替えることなく、濡れたTシャツをずっと着ていたのがよくなかったようだ。休憩して、ソファーで寝ていたとき、寒さを感じてまずいなという思いがあった。

 火曜日、仕事から家に戻り、熱を測ってみると、37.5度あった。この日は、普通に夕食をとれたが、翌日の水曜日、体調は回復せず、会社を休んだ。午後に熱は38.5度まで上がった。さすがに、38度を超えると、体は非常に辛くなってくる。昼は、何も食べなかったが、体によくないような気がして、5時過ぎに冷蔵庫にあった肉まんを電子レンジで温めて食べた。

 妻が仕事から帰ってきて、リンゴをむいてくれた。寝床で、そのリンゴを4分の1くらい食べた。その後、不思議と急速に回復していった。翌朝、熱は37度2分まで下がった。大事を取って、会社を休んだが、午後からはリビングでテレビを観られるくらいになった。

 それにしても、10日間で2回も38度を超える熱が出るというのは、どういうことだろう?熱は高かったが、それ以外に酷い症状は無く、ストレス性の発熱かとも思ったが、鼻水や咳などは出ていたので、やはり、ここのところの天候不順と汗をかき体が冷えてしまったことによる不調だったように思う。

 一月下旬からの家探し、リフォーム、引っ越し、そして家電や家具の購入、会社の方では部署の異動と今まであまり経験したことのないことが続いたので、その疲労が一気に出たのかもしれない。この半年、心身ともに、辛い状況が続いていた。 家の方は、やっと必要なものも、だいたい揃い、落ち着いた日々を過ごせるようになった。あとは、仕事の方だけど、これはもう、どう転んでも、当分の間、ストレスのかかる状況は続きそうである。(2016.10.12)




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