昼休み時短騒動

 一週間前、突然、会社から昼休みを1時間から45分に短縮して、代わりに3時から15分間を休憩時間にするという通達があった。これまでも3時からの休憩は黙認状態だったので、実質的には15分の勤務時間延長である。

 その2日後、部長から説明があった。それによると、大阪の本社はもともと昼休みの休憩時間は45分で、最近では従業員が時間にルーズ(3時休憩の時間が長いということ)になってきているので、このさい本社に合わせることにしたそうである。それにしても、昼休みの休憩が45分になると、いろいろなところに支障の起きることが想像できた。まずは食事である。

 お弁当を買ってきて、社内で食べる人には、それほど影響ないだろうが、外食している人は、かなり忙しなくなり、場合によっては昼休み時間内に会社に戻れないなんていうことになりかねない。僕は、最近はほとんど弁当を買ってきているが、以前、外食したとき、昼食を取ろうと入った食事処が混んでいて、食べ物が出てきたのは12時50分近くで、10分足らずで慌ててかき込んだということがあったが、そこまでいかなくても、15分の短縮はかなり厳しい状況を生みそうである。

 そして、もうひとつが給与計算である。これは僕たちには直接関係ないけど、経理をしている人間にとっては、かなり複雑なことになるのではないかと思う。というのも、パートの時給は10分単位で計算されているので、昼休みを45分に短縮したことにより、いろいろと面倒なことが起こるのではないかと、他人事ながら心配になった。

 さて、その初日、やはり45分は短いと実感した。僕は昼休みになるとまず近くの中華料理屋に弁当を買いに行き、それを食べ終えたら、寝ることにしている。弁当を食べ終えるのは、12時20〜25分くらいで、寝過ごさないように携帯のアラームをセットしてから睡眠に入るのだが、昼休みが13時のときはアラームの鳴る前に起きていたが、15分短縮になって初めてアラームで起こされた。

 そして、12時45分から仕事を始めたわけだが、何故か仕事をしているという実感がわかない。ただ単にまだ慣れていないからなのか、アラームで起こされ頭が働いていなかったのか、休み時間が短すぎて昼食のため胃に集まった血液が頭まで周っていかなかったのか、とにかく、独特の浮遊感があった。

 また、みんなそれぞれに不満を持っているようだった。昼休み弁当を買いに行くとき、「これからは12時になったら、ダッシュしないと」と批判めいた口調でいった社員さんがいたし、「用事ができなくなった」と嘆いていたパートさんもいた。近所に住んでいるパートさんは、倹約のため昼休みに家に帰って食事をするという人が、多いのである。そのさい、食事だけでなく、家の用事をしている人もいたわけで、それができなくなってしまったそうである。そして、昼休みの時短は、開始わずか4日にして、元の1時間に戻った。

 その最大の理由は、給与計算の煩雑さであったらしい。パートさんに中には昼から出勤したり、3時までの人もおり、かなりの混乱があったそうである。今まで13時出勤の人は12時45分に出勤し、3時上がりの人は14時45分に退社することになった。だけど、コンピュータシステムは変更されていないから、14時45分に退社を入力すると、20分早退したことになってしまい、時刻を修正したりと面倒が生じていたという。それに、15分短縮になったことにより、外食したり、家に帰ったりしていた人たちからかなりの苦情があったらしい。

 しかし、このようなことは、予め想定できることである。それにもかかわらず、昼休みを短くして、わずか4日後にまた元に戻すとは、いったいどういう頭をしているのだろうと思ってしまう。

 伝わって来た話によると、部長の周りの社員やパートさんで3時休憩を長く取る人がいるらしく、しびれを切らせた部長はそれならいっそ3時に15分休憩時間を設けて、その分昼休みを削ればいいと考えたそうである。それにしても、昼休みを45分にすることによって起こる弊害を想定せず、怒りに任せて実施して、苦情が出たら即撤回、まったくお粗末すぎる結末である。(2014.5.24)




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