僕が忘年会に出ないワケ

 会社の忘年会が行われた。僕はいつも通り不参加だった。社員は、病気で欠勤した人以外は全員参加したらしいが、パートの出席率はあまりよくなかったようで、3割から4割程度だったらしい。

 実は9月に、短期で入って来たパートの懇親会が行われたのだが(僕はいつも通り出席しなかった)、料理の量がとても少なく大変不評だった。どういう手違いか、一人につきスパゲティ半皿分くらいしかなかったそうである。そのためか、今回は食べ切れないほどの料理が出たと出席した妻は喜んでいた。

 以前勤めていた会社の忘年会は楽しかったが、今のところは仕事の愚痴、出席しなかった人の悪口大会の様相を呈してくるので、全く楽しめないどころか、苦痛になってきて、僕は不参加を決め込んでいるのだけど、今年も変らなかったようである。ただ、そういったものから、思わぬ人間関係が見えてきたりする。

 仲良く見えていた女性のパートさん同士が、実は相手を嫌っていたり、傍から見ると温厚そうな人が、実はよくキレる人だったりと妻から聞かされた話は意外なものばかりで、部署がほとんど内部崩壊しているのではないかと思ったくらいだった。

 しかし、普段、会社内では、ガマンして表面上の友好関係を保っていたりするのだから、複雑な人間関係を思わないわけにはいかなかった。僕はすぐに態度に出てしまうので、とてもできない芸当であるが、それができないということは、やはり会社員として‘不向き’ということになるのだろう。阿修羅の心を持ちながら、表情は恵比須顔、それがいい会社員の必須条件である。

 酒の席で、仕事上の愚痴や仲間の悪口が幅を利かせるのは、会社に心が縛られ過ぎているからだと思う。忘年会はその縛りを解く場だと思うが、解き放ち方を間違えている。その縛りから抜け出せないのは、会社外での生活の貧しさを物語っているように感じる。会社に行って遅くまで仕事をして、家に帰ったら飯を食って、風呂に入って、寝るだけ、休日は疲れて部屋でごろごろといったような生活を繰り返しているからで、仕事以外で活き活きとできるものを持っている人は、話題も豊富で面白い。

 このような意外な話が聞けるのなら、忘年会というのも悪くないなと思いかけたが、やはり、出たくない気持ちには変わらない。酒は楽しく飲みたいからである。仕事の愚痴や他人の悪口を論って飲む酒の後味はよくない。(2013.12.29)




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