運転免許証の更新

 日曜日、運転免許証の更新に二俣川にある運転免許試験場までいってきた。僕はゴールド免許なので、5年振り、そして神奈川県では初めての更新だった。

 免許証の更新でユウウツなのは、視力検査である。僕は物事に対して慎重な方なので、今まで免許証の更新の際には、必ず眼鏡屋にいって視力を測り、メガネを新調していた。視力検査を通らなければ、後日、また出直していかなくてはならず、面倒ということもあるが、何となく落ちると恥ずかしいような気がしたからである。

 前回のとき、眼鏡屋で検査したら、ギリギリ通るくらいで、当日、目のコンディションが悪いと落ちることもあるかもしれないといわれ、新調したのだった。しかし、実際につくったメガネは以前のものと、そんなに変わらないような気がして、これだったら新しくする必要はなかったかもしれないなと思ったりした。それで今回は5年前につくったメガネでとりあえず更新にいき、もし、視力検査で落ちたら新調することにした。

 当日、街中や電車内の広告などの小さな文字がどの程度まで見えるか試しながら、試験場に向かった。街中では、陽の当たりぐあいや歩行による上下動などの影響かもしれないが、思っていたより見えは悪く心配になった。電車内では自分の座った座席の反対側にある広告の小さな文字を目で追ったところ、まあまあ読めたので、少し自信は回復した。

 二俣川で電車を下り、運転免許試験場に向かった。日曜日のため、試験場への道の人通りは多く、新しい免許を手にして微笑みながら駅に戻る人もすでにいた。僕も家を9時には出たので、恐らく彼らは、受付の開始される8時半にきた人たちだろうと思った。

 試験場の建物に入ると、三人の係員が受付をしていた。以前は自分で申請書に記入したものだが、今は運転免許証を係員に渡すだけである。係員が免許証を機械に通すと、免許証の両面のコピーされた申請書が出力され、交付される。

 「それでは、隣の検査機の空いているところに並んで、適性検査を受けてください」といわれ、目をやると、三個所で視力検査が行われていた。どの列も空いていて、すぐに自分の番が回って来そうである。いきなり、緊張が高まって来る。以前、鮫洲で更新したとき、何人も続けて、同じ答えだったことを思い出し、とりあえず前の人の答えを記憶しておかなくてはと思った。

 「左、上、右」と前の人は答え、パスした。視力検査の機械に額をつけ、左右二つの穴から、覗き込む。「これは?」「右」余裕で見えたが、前の人とは、検査する場所を変えているようだ。「これは?」「下」これも余裕で見えた。「これは?」「…」はっきり見えない。

 視力検査は片目0.3以上、両目0.7以上でパスとなるから、最後は両目で0.7以上あるかどうかの検査だと思われる。とすると、最後の両目で0.7が見えないということになる。このままでは、また後日ということになりかねない。視力検査表を凝視する。上でも、左でもないような気がする。「ええと、右ですかね」というと、「はい、いいですよ」といわれ、申請書に合格のサインをもらうことができた。最後の答えが合っていたのか、間違っていたのかは、わからない。

 視力検査を終え、階段下にある機械で免許証の暗証番号を設定して、階段を上り、証紙を購入して、受付に提出すると「5番で写真撮影をしてください」といわれた。写真撮影の列を見るとひとつはそれほどでもないが、もうひとつは正に長蛇の列になっている。初めは短い方に並んでいたのだけど、それが6番であることに気づいた。

 どちらも同じ写真撮影なのだから、どっちでもいいような気がしていたが、あの受付の人は確か5番と指定した。何か意味があるのかもしれないと思い、指定された5番の列に並び直したが、これがとんでもない長さで、二階のフロアを半周くらいしている。ここ数年間で、僕の並んだ行列の中で間違いなく一番長いものだった。これは後で知ったことだが、5番の列は優良運転者の人たちの列だったのである。

 列を優良、一般、違反、初回と分ける意味は、その後の講習の長さが違うからである。優良運転者は30分、一般運転者は1時間、違反運転者と初回更新者は2時間となっている。そして、この講習を終えると、その場で名前が呼ばれ、免許証が交付される。

 新しい免許証をもらい運転試験場を出たのは、12時少し前だった。雰囲気のいい喫茶店でもあったら、入ろうと思っていたが、結局、見つけることができなかった。いや、実は、駅の近くに一軒あったのである。初めはコーヒーだけかと思っていたが、通り過ぎたとき、チラッとランチの文字が見えた。ただ、何となく引き返せず、そのまま駅まで行ってしまった。結局、昼食はコンビニでお握りを買い、家で食べた。(2013.10.5)




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