遅れた地デジ化

 現在、住んでいる借家に地デジのアンテナ工事をしてもらうため、不動産屋を通して大家さんにお願いしたのは今年の三月下旬だった。壊れているエアコンの取り換えと合わせて了承の返事があったのが五月下旬で、そのとき工事の希望時期を訊かれたので、六月下旬にした。ちょうど暑くなり始める頃だし、地デジへの何というか反発のような気持ちもあり、急がなかったのである。

 今、使っているテレビは妻が以前からもっていた14インチのブラウン管のものだが、画像も鮮明で何の問題もなく、それが使えなくなってしまうのが、何とももったいない気がして、地デジのチューナーを買って済まそうかと思ったが、妻はどうしても新しいテレビがいいというし、安くなっているので買い換えることにした。

 妻は仕事の終わった後、大手家電量販店を周り、値段のチェックなどをしていたので、テレビの購入は妻に任せることした。そして、アンテナ工事の予定日まであと五日くらいとなった日、仕事を終えた後、テレビを買いにいった。家で料理を作って待っていると妻から電話があり、テレビの納入が七月になってしまうという。それも詳しく訊くと七月の後半ということだった。

 家が狭いので大きな画面のテレビは止めて、19かせいぜい22インチにしようということにしたのだが、小さいサイズのテレビは品薄で在庫がないらしい。それにして何で一カ月以上も待たなくてはいけないのだろうか?震災の影響も多少はあるのかもしれないと思ったりした。とかいって大きいサイズのテレビを買ったら、テレビの存在が大きくなり過ぎるような気がして、当初の予定通り19インチのものを注文することにした。

 約一カ月間テレビなしの生活になるわけだが、それはそれでいいような気がした。僕がほんとに観たくて観ている番組は競馬中継くらいだし、妻も教育テレビの園芸教室くらいだろう。考えてみると、ほとんどが他に何もすることがないから、見ているというだけだ。

 そして週末、不動産屋から依頼を受けた電気工事業者が来た。一日でエアコンの交換と地デジ用アンテナな設置をするのかと思っていたら、少し話が違って打ち合わせにきたという。そこで、肝心の地デジ対応テレビの来るのが七月下旬になってしまうので、アンテナの設置は急がなくてもいいというと、あちらも今日は人数も出せないし、エアコンの交換だけを行いましょうということになった。

 遅れてもう一人作業者が来るということだったが、結局来ないで、エアコンと室外機の配管とか室外機の運搬など手の足りないところは僕が手伝うことになり、二時間くらいで作業は終了した。地デジ用アンテナの設置の日時は後日、改めて決めましょうということになった。真夏のアンテナ設置はきついので、七月中旬くらいにしたいようなことを業者さんはいっていたのだが、猛暑が一段落したような土曜日にいきなりやってきてしまった。

 先日、訪れた作業者とのことを話すと、前のアンテナも残すのでアナログ放送が終了するまで、テレビは観られるといった。二時間くらいでアンテナ工事は終わり、業者の持ってきたモニターで地デジが映ることを確認した。僕の住んでいる辺りは、電波の状態がいいので、ブースターの必要はないそうだ。

 これで、テレビのない日が数日で済むことになったが、そのとき僕は寂しいと感じるのだろうか?それとも、清々したと思うのだろうか?(2011.7.3)




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