お正月の過ごし方

 結婚してからお正月の過ごし方が全く変わってしまった。よくなったとか悪くなったとかではなく、‘変わった’という感じである。

 もともと僕はお正月というよりも、正月休みはそんなに好きではない。それは旅行するのに不向きだからである。宿の予約も取りづらいし、どの交通機関も混んでいる。それに寒いからバイクでツーリングは辛いし、キャンプするのにも厳しい。本当のアウトドア好きは虫が少なくなり、人も減る冬こそキャンプするものだと聞いたことがあるけれど、そんな気分にはなれそうもない。

 そんなわけで、独身のときに正月はほとんどが寝正月だった。たいして面白くないテレビを延々と深夜まで見て、翌日は昼くらいに起き出し、そしてまたテレビの繰り返しである。だから正月名物の箱根駅伝も第1区と第6区を見た記憶がない。どんなに早くても2区の後半くらいからということになる。たまには早く起きて6区の山下りを見ようと思ったりするのだけど、実現したことはない。

 そして、テレビにも飽き、天気がよく暖かそうだったらバイクでも乗ろうかということになるし、外が寒そうだったらCDでも聴くかというような感じだった。人付き合いがあまり好きでないため、独りのんびりと過ごすことが多かった。

 ところが結婚してからは、妻の親戚の多さにより、やたらとあっちに行ったり、こっちに行ったりということになった。今年の正月前後の過ごし方とみてみると、27日は平塚にある妻の姉の家に妻の叔母さんといっしょに行ってクリスマスパーティ、28日は会社の友人と飲み会、29、30日と家の大掃除をして、31日は僕の母の家に行き、1日は妻の叔母さんの家で新年会、2日は僕の弟の家に行くというような具合だった。僕にとってはかなりのハードスケジュールだ。

 妻にとってはいいお正月だったようで、「今年はよかったね」と喜んでいた。多くの人と会えたこともうれしかったようだが、何よりもゆっくりと歓談の時を過ごせたことがよかったという。そういえば27日のクリスマスは10時近くまで平塚の姉の家で過ごしたし、28日の友人との飲み会は11時まで、大晦日も11時まで家にいたし、元旦も同じく11時近くまでのんびりしていた。

 妻にそういわれてみれば、充実したときを過ごせたような気もするが、一方で寂しい気もする。独身のときのような自儘な時間がほとんど無くなってしまったからだ。家にいれば「あれやって、これやって」と言われ、今度のスケジュールもほぼ100%妻が決定したものだった。

 友人に結婚後のこの変化について、話したら「充実していていいじゃない」と言われた。確かに他人から見たら、家でゴロゴロしてテレビを見続けて過ごすより、親戚や親兄弟の家を訪ねて周る方がずっといいように見えるだろう。だけど、僕としては、一日中ほとんど何もしないで、ただ惰性に任せて過ごす時間もそれはそれで貴重に思える。ただ怠け者なだけなのだろうけど…。

 初めにお正月の過ごし方の変わったことを、よくなったとも悪くなったとも思わないと書いた。何かを得れば何かを失い、何かを失えば何かを得る、ここのところ何かにつけて、そんなことを強く意識するようになった。全部がいいこともなければ、全部が悪いこともない。(2010.1.10)




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