昨年の夏、奥多摩へツーリングに行こうと思い、バイクのエンジンをかけようとしたがバッテリーがすっかり弱くなってしまっているようで、セルが回らなくなっていた。一昨年、バイクを点検に出した時、バッテリーが弱くなっているので夏の間は大丈夫でしょうが、冬になったら交換したほうがいいですよと言われていたのだけど、何とかだましだまし使っていたのだ。しかし、それも限界に来ているようだった。 家の前はほとんど住人の車しか入って来ない路地なので、とりあえず押し掛けをしてみることにした。ギアをセカンドに入れ、クラッチを握ったまま路地を勢いよく駆け、適当なところでクラッチを離してセルを強制的に回すのだが、なかなかエンジンは始動せず、5〜6回路地を往復して腕も足も鉛のように重くなった頃にようやく動いてくれた。 その日以来、押し掛けの辛さに辟易した僕は、ほとんど毎週週末になるとバイクに乗るようにした。あまり気分の乗らない時も、家から20分ほどの距離にある城南海浜公園まで行き、気分のいい時は鎌倉や観音崎、奥多摩まで足を伸ばした。 ところが今年に入って、初めてバイクに乗ろうとしたら、バッテリーが上がりエンジンがかからなくなっていた。10日くらい前に横須賀までツーリングに行った後だったので、もう寿命かと思ったが、また辛い押し掛けをして何とかエンジンを始動させ、2時間くらい適当に走り回った。 その後はもうやっとエンジンのかかるという状態がずっと続いていたのが、4月に入ってバッテリーの蓄電能力は限界にきたようで、2時間くらい走ったとしても1週間空いてしまうと、もうセルは回らない状態になった。仕方ないので5月末の自賠責と任意保険の支払いの時、バッテリーを同時に買った。 2週間前の土曜日、さてバッテリーを買えようと思い、サイドカウルを外してバッテリーを露出させて、マイナスの端子を外し、さて次はプラスと思ったが端子がさびついていてなかなかネジが回ってくれない。何回かやってみたが、どうにもだめでよく見ると、ネジ山が潰れかけている。これ以上続けるとさらに酷い状態になりかねないので、家から500mくらいのところにあるバイク屋までセローを押していった。 店に入って事情を話すと、若い店員さんが出てきて快く作業をしてくれたが、難しい状態になっているようで、なかなかうまくいかない。ドライバーを数本持って来てサイズを合わせたりしていたが、やや大きめのものをネジ山に差し入れ、金槌で何回か叩いて回すと何とか回ってくれた。 お礼を行って再びセローを家まで押して帰ったが、汗びっしょりになり口の中もカラカラで、改めてバイクは押すものではないなと思った。新しいバッテリーに交換し、キーを回してみると、やはりセルの回り方は今までとは全く違い、力強く頼もしい。ただ、最近はエンジンをかけていなかったため、一発ではかからず、3回目くらいに始動した。 バッテリーを変えた後、少し遠乗りをしてみようかと考えていたが、バイク屋への往復で体力を使い果たし、Tシャツも汗びっしょりになっていたため、城南島海浜公園まで行くことにした。 6月も下旬のため、海浜公園の砂浜には水着姿になって肌を焼いている男女の姿なども見かけたが、僕は日陰のベンチに座り、海を見ながら座って冷たい缶コーヒーをゆっくりと飲んだ。どうしてバイク乗りは缶コーヒー片手に海をぼーっと見ているのが好きなのだろうか? 翌日の日曜日の夕方、喉が痛み出した。どうも風邪らしい。新型インフルエンザの流行っている昨今、あまり風邪は引きたくないところだが、体調はどんどんと悪くなり、月曜日は何とか仕事に行けたが、火曜日は発熱して休んだ。どうしてこの時期にと考えていたら、どうも土曜日に濡れたTシャツのまま、バイクを走らせたことが原因のように思えてきた。幸い、熱はそれほど高くはならず、水曜日からは普通に働けるようになった。ただ、まだ喉がちょっと痛い。 風邪を引いてしまったのは余計だったが、バイクで風を切って走っていると自由を強く感じた。初めてバイクに乗った時の翼が生えたような感覚が蘇った。結婚してから、バイクツーリングとは縁遠くなってしまったが、今年は何とか妻の了解をとって、秋くらいにはテントと寝袋を持って遠出したい思った。(2009.6.23) |