雨の日曜日、渋谷WINSまで宝塚記念の馬券を買いに行った。春を締めくくるG1である。今年は何故か調子がいい。年頭から5月中旬くらいまでは全くだったが、ヴィクリアマイルを当ててからオークスは外したものの、ダービー、安田記念を連続して大勝ちして、マイナスだった収支は一気にプラスに転じた。宝塚記念を外したとしても、今年前半戦のプラスは確定しているのだけど、何とも当ててG1、3連勝で締めくくりたいところである。 傘を差して家を出たくらいに、ちょっと風邪気味かなという感じがしたが、馬券を買いに行くという高揚感がそれを抑え込んでしまった。馬券を買い終え、東急東横線に乗ったとき、自分がかなり汗をかいているのに気づいた。梅雨寒だったのでTシャツの上にジャケットを羽織っていたのだけど、それが暑すぎたのかなと思った。 お昼ちょっと過ぎに家に戻り、妻にうどんを作ってもらい、まだ小腹が減っていたので、昨日、義姉さんが置いて行った甥っ子の修学旅行のお土産という八ツ橋を冷蔵庫から出して食べた。久しぶりの八ツ橋は美味しく、気づくと妻の分まで全部食べていた。
これは困ったことになったなと思い、八ツ橋の入っていた箱を急いで捨て、後は妻の忘れていてくれることを祈ったのだけど、5分後には「私の分は?」と訊いてきた。ここは下手な嘘をつくよりも正直に告白した方がいいと思い 妻のお説教のせいではなく、ほんとに風邪の引き始めのような症状が出ていた。汗を吸い込んだままのTシャツをずっと着ていたため、体が冷えたのかもしれない。新しいTシャツに着替え、少し窓を開けゴロリと布団に横になるとあまりの気持ちよさに寝入ってしまった。 どのくらい寝たのだろう、これから出かけるという妻に起こされた。彼女は夏物のズボンを買いにKまで行くという。機嫌はまだ悪いままだった。時計を見ると3時を回っている。僕は急いでテレビの前に行ってスイッチを入れ競馬中継を見た。 しかし、どうにも具合が良くない。どうやらほんとに風邪を引いてしまったようである。多少、発熱しているのかもしれない。競馬が終わったら、妻の帰ってくるまで寝ようと思った。 宝塚記念も当たり、ダービーから3連勝となった。G1を3連勝するなんて何年振りだろう。これで多少は妻の機嫌も直るかもしれない。テレビを消して二階に行き、またふとんにもぐり込んだ。 妻の帰ってきたのは7時を過ぎていた。馬券の当たったことをいうと、やはり機嫌は直った。しかし、昼寝ばっかりしていたせいかもしれないが、体がだるくて仕方ない。夕ご飯を食べ、テレビを見て、お風呂には入らず頭だけ洗って床についた。寝る前に体温を測ると37度ちょうどだった。やはり微熱が出ている。しかし、37度とはまた微妙なところだ。 月曜日の朝、やはり体調は悪い。熱を測ると昨晩と同じ37度、また微妙な数字が出てしまった。妻にそのことを言うと、「会社には行けるでしょ」と言われた。昨今の物価の高騰、そして今の会社の労働時間の制限等を考えるとあまり休みたくはない。しかし、体はこれから風邪が悪化する予兆を示している。 「今日は休むよ」と妻に言い、朝食をとった後、風邪薬を飲んでふとんにもぐりこんだ。これがずる休みだったら、どんなに楽しいか!ほんとの風邪は辛いばかりである。久しぶりにのんびりと本でも読もうとしても、意識が曇っているようで根気が続かない。目が覚めたときは、もう2時を回っていた。 一階まで下りて、冷蔵庫にあったうどんを茹でて食べ、ちょっとテレビでも…と思ったが体が辛くてだめだ。二階に戻り、しばらく横になってから体温を測ってみると38度になっていた。体が辛いわけである。再び、ウトウトして目が覚めると、辺りはもう夕暮れになっていた。時計を見ると5時を回っていた。妻の仕事の終わる時間だ。 あまりに体が熱く感じるので、また体温を測ってみると、38.6度まで上がっていた。こんな酷い風邪は久しぶりだ。もう、立つことも億劫である。 妻の帰って来たのは、6時30分を少し回った頃だった。いっしょに夕食をとって(ほとんど食欲はなかったが…)、すぐふとんに横になった。体の節々、特に背中の肩から肩甲骨にかけての部分が痛み、呻いてしまう。妻は心配して‘熱さまシート’を買ってきてくれた。 火曜日、それが効いたのか、体温は37度まで下がった。大事をとって会社は休むことにしたが、体調はかなり良くなって一時間くらい本を読んだ。昼はご飯を炊いて、それにレトルトのカレーをかけて食べた。妻の帰って来た頃には、ほとんど平熱に戻り、いっしょにご飯を食べた後、テレビを楽しんだ。 発熱の原因は、僕の薄着のせいのように思う。ここのところ寝るときはずっとTシャツとパンツだけだし、窓も開けっ放しのことが多い。それで明け方、寒くなったりしていたことがよくあった。休みの日の午後など、開け放たれた窓の近くでずっとうたた寝をしていたりしたから、体が冷えてしまい菌に対する抵抗力が落ちていたのだろう。それに、妻の八ツ橋を食べてしまった罰だったのかもしれない。(2008.7.4) |