行きと帰り

 ペルー旅行から、何とか無事に帰って来られた。あちらでは、始めと終わりに軽い発熱があった程度で概ね健康に過ごすことができた。

 日本からペルーへの直行便はないため、アメリカのアトランタで乗り換え、そこからリマに向かったが、ほとんど日本の反対側にある国だから飛行機に20時間くらい乗ることになる。今まで海外旅行の経験はなく、飛行機も2時間以上乗ったことがなかったため、どうなるかと心配していたが、リマのJさんの実家に着いて朝ご飯を軽く頂いた後、13時間も眠り続けてしまった。

 成田を午後3時半に出発して約13時間後にアトランタに着くのだけど、時差というものがあるため現地の時刻では午後3時を過ぎたところだった。この旅行中、合計8回飛行機に乗ったが時刻通りに出発したのはこの飛行機と帰りのアトランタから成田へ向かう便の2回だけだった。飛行機はほとんど定刻通りにアトランタに着いたが通関のところには長蛇の行列ができていた。

 近年、アメリカで税関検査が厳しくなった影響もあるようだが、それに加えて何かシステムのトラブルがあり、かなり長い時間ここで足止めということになってしまった。5時25分発のリマ行きに間に合わなくなるのではないかと心配したが、ぎりぎりの時間に出発ゲートに着くことができた。

 しかし、今度はリマ行きの飛行機にトラブルが発生したとかで飛べなくなり、代替えの飛行機を用意するという。結局、リマに夜の11時に着く予定が朝の4時ということになってしまった。13時間の睡眠というのは、そういう疲れがでたものだろうと思った。それでもスッキリとはいかず、その後、1週間くらいあまり体調のよくない日が続いた。

 ペルーからの帰りは気流の影響でさらに長い時間、飛行機に乗らなくてはならない。行きよりも合計で1時間ちかく長くなる。リマを午前0時30分に出発する予定であったが、約30分遅れで離陸、行きでのアメリカの通関のことを考えると乗り継ぎが間に合うのか心配になったが、今度はほとんど並んでいる人もいなくてあっさりと通過でき、出発ゲートに着いたらちょうど搭乗が始まったところだった。成田行きの便は定刻に出発して、予定時刻より早く成田に着き、4時過ぎに約3週間ぶりの家に帰ってこられた。

 リマでは寝込んでしまったため、時差ボケがどの程度でるか心配だったが、長旅の疲労はあるものの、時差は全くといっていいほど感じない。旅から帰宅した昨晩は12時過ぎに寝て、今日は6時30分に目が覚めたのだから、ほとんどいつもの生活パターンである。

 これはちょっと不思議だった。しかし、よくよく考えてみると、未知の外国に向かう場合と我が家に帰る場合、その往路と復路の心理状態は全く違う。

 リマの向うときは強い緊張状態であり、さらにはアメリカの通関や飛行機のトラブルによる待ち時間がさらに疲労を深くしたのだろう。それに反して成田に向かうときは、自分の家に帰れるという安堵の気持ちが強かったし、機内には日本人が多く乗っていて、近く座っていた人と話しもできたし、乗務員も日本語でOKだったため、あまり神経を使わずに済んだ。そのため帰ってからそれほど強い疲労を感じていないのかもしれない。

 人間の生理として東回りの方が時差の影響が強いということがあるらしい。夜ふかしの方向に時間がずれて行く方が人間は楽なのだ。夜ふかしと早起き、どちらが楽かといわれればだいたいの人の応えはいっしょだと思う。成田からリマに向かうのは東回りであり、リマから成田に向かうのは西回りだ。それも少なからず影響しているのだろう。

 そして、一度来た道は二度目には短く感じるということもあったかもしれない。(2007.8.15)




皆さんのご意見・ご感想をお待ちしています。joshua@xvb.biglobe.ne.jp

TOP INDEX BACK NEXT