何か変

 今から2週間前に従姉から電話があった。彼女は僕よりひとつ年上の40代の独身女性で普段は結婚式の司会などをして暮らしているが、最近テレビ番組に素人さんを派遣するプロダクションに登録していたらしい。その伝で、厳しい審査を乗り越えてめでたくテレビ出演となったという。
「それで、どんな番組に出るの?」と訊くと
「発掘あるある大事典」だと言う。
「どんな内容?」と訊くと
「ヨガ」と言った。

 何でもヨガによって肌年齢は若返るという内容らしく、従姉も実験前は60代と診断されたらしいが、ヨガをはじめてある期間続けたら今度は30代になり、効果があったとうれしそうだった。

 「今度の土曜日の9時に放映されるから見てね!」と電話は切れたが、それは永久に放送されることなく、お蔵入りになってしまった。あの納豆ダイエットの捏造問題である。僕は「発掘あるある大事典」という番組を見たことはないので、納豆がブームになっていたことも知らなかったのだけど、周りの人に訊いてみるとダマされた人もかなりいた。

 この納豆ダイエット、「20〜50代の被験者8人に朝晩2回、納豆を食べ続けさせた結果、2週間後に最高で3.4キロ減など全員の体重が減った」ということらしいが、普通に考えるとあまりにもおかしいことに気づく。

 どんな食物であれ、それを食べ続けて‘やせる’などということがあるはずはない。何故、動物が物を食べるのかといえば、生きるためであり、それに必要なエネルギーを補給するためなのだから。どんな物でも、食べ過ぎれば太るのが当たり前なのだ。食べれば食べるほど‘やせる’というのなら、それは嘔吐や下痢を繰り返さなくてはならず、体に対して有害な物なのでなくてはならない。

 この他にもテレビを見ていておかしいというのは風邪薬のCMだ。風邪を引いたら温かくして安静にしているのが一番なはずなのに、どのCMも薬を飲めば一日‘元気’に働けることを売り文句にしている。「朝、飲めば一日大丈夫」とか「朝夕2回だけで便利」とか、「休めないあなたに」とか、「眠くならない」とか。

 風邪を引いたら仕事など休んで、薬を飲んで一日ゆっくりと温かくして眠るのが本来の姿だと思うのであるが、どの薬品会社のCMを見ても、風邪を引いた人を何とか働かせようとしている。「風邪を引いても休まず働け!」ということなのであろうか?

 「風邪を引いたら、○○飲んで、温かくしてゆっくり休んでね!」などというやさしいCMも昔はあったような記憶があるが、いつしか日本はやさしくない社会に変貌してしまったようである。

 いや、いや、僕は風邪を引かずとも、休んでしまったりすることも多いから、あまり目くじら立てる必要もないのだけど、最近、テレビを見ていて「何か変」と思うことが多くなった気がする。(2007.1.27)




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