弱い自分

 先週の土曜日の夜、急にのどが痛くなった。日曜日は友人と約束があったので体調は悪かったけど、まあ何とかなる範囲だったので出掛けて、夜遅くまで飲んでしまった。

 これは、まずいことになるかなと思っていたら、月曜日、のどの痛みもほとんどなくなり、体調も良くなって、風邪は何処かに行ってしまったように思ったが、仕事から帰って来て、夕飯をとりテレビを見ながらゴロゴロしていたら急に寒気がしてきてしまった。

 火曜日は忙しそうだったので、あまり仕事は休みたくなく、朝、熱を計ったらなんと35.5度だったので、今日一日くらいは持つだろうと会社へ向った。しかし、明らかに熱が出る前という感じで、実際、午前中には体が熱っぽくなり、だるくて仕方なくなった。午後、さらに具合は悪くなった。かなり高い熱が出ているような感覚があり、時々悪寒が背中を走り、関節が痛み出した。

 「早退させてもらおうか…」と何度か思ったが、とりあえず自分の仕事だけは終えてからと7時過ぎまでやって家に帰った。熱を計ったら37.8度あり、39度くらい出ている感覚があったので、ちょっと表し抜けした。どうやらインフルエンザではなさそうなので安心したが、軽く食事を取った後、倒れるように寝込んでしまった。

 しかし、気持ちが悪く、頭は痛み、結局、朝まで熟睡することはできず、ほんの1〜2時間うつらうつらするだけだった。熱を計ると36.6度でほとんど下がっていたが、とても会社に行く気分にはなれず、休みの連絡を上司に入れた。

 そういえば今日は耐震データ偽造問題の証人喚問があり、姉歯元1級建築士が証言するんだと思い浮び、テレビのスイッチを入れ、自分は布団に寝たまま音だけ聞いていた。

 「できなければ、他の設計事務所もあるんだよと言われ、仕事の90%以上を木村建設から請け負っていたため、そうなると収入はほとんどなくなってしまう。当時、妻は病気がちで入退院を繰り返していて、自分の中に葛藤があり、仕事がなくなってもいいとも思ったが、弱い自分がいた」という証言は立場の弱い人の哀しさがあり、彼も被害者ではなかったかと僕は思ってしまった。僕がもし彼の立場だったら…と考えると、同じことをしなかったとは言い切れない気がした。

 午後もずっと証人喚問を聞いていたが、他の人の証言は全く真実味も人間の言葉も感情もなく、つまらないもので時折、睡眠に落ちていた。

 一日寝ていたため、体はかなり回復して、熱も完全に下がり、翌日は仕事に行くつもりで風呂にも入り、早めに床に入ったのだけど、翌朝になると怠け心が出てしまい、 「まだ、ちょっと調子が悪いので、もう一日休ませてください」と上司に電話を入れてしまった。

 しかし、体はほとんど回復して、調子もよくなっているため、寝ているだけでは退屈で、昔読んだ本を読み返したり、映画のビデオを観たりして、一日過ごした。よく考えてみると、ここ3ヶ月出勤日に会社を休んだことはなかったので、たまのずる休みもいいものだなと思った。

 金曜日、僕の風邪に誰かが感染してしまったのではないかと心配だったが、会社に行ってみるとそれは杞憂に終わった。(2005.12.17)




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