「生活、苦しくないですか?」新しく入って来たパートの人にそう訊かれた。 会社を辞めた直後、実際に時給900円での生活シミュレーションなどをやったりして、かなり苦しくなるのではないかとの感触を得ていて、応募を思い止まっていたりした。だけど、実際に時給900円の生活に入ってしまうと(今は時給は1000円に上がったが)、それほど苦しくもなかったのである。まあ、何とかなっている。その間に車を廃車にしたりしたけど、もともと物欲がほとんどない僕は、あまり乗らない車がなくなってもそれほど苦にはならなかった。貯金通帳に記帳された数字をみると、それほど減ってもいないし、それほど増えてもいない、ほとんどトントンという状況だ。 もともと何とか生活できて年に数枚のCDと数冊の本を買えて、数本の映画が観られて、競馬を楽しめるくらいの資金と、夏に北海道旅行に行けるくらいの収入があれば満足だった。問題は時間だったのだ。 会社員時代は自分の欲求を上回る収入があったが、時間にはいつも飢餓感を感じていた。もっとゆっくり歩きたいのに、それができなかった。このまま老いぼれるまでずっと走り続けさせられるのかと思うと、虚しくなった。だから、収入は落ちたが、多少の自由を得た今の生活がそんなに苦にならないのかもしれない。 ある程度、自由に休めて、仕事のストレスもあまりなく、夏には3週間程度の休暇がとれて、まあ何とか生活できるくらいの収入を得ている。僕は自分でも意識しないうちに、スローライフの入り口くらいには辿りついていたのかもしれない。(2004.12.12) |