U2の新譜

 今週は忙しい1週間だった。23日の勤労感謝の日も休日出勤した。仕事をしている最中、先週末に買ったU2の新作アルバム「How To Dismantle An Atomic Bomb」に収録されている「Miracle Drug」「Sometimes You Can’t Make It On Your Own」「City Of Blinding Lights」「All Because Of You」「Crumbs From Your Table」「Yahweh」等のサビの部分を自然と口ずさんでいたりした。そして一刻も早く家に帰り、このアルバム聴きたくて仕方なかった。

 始めて聴いたときは、それほどいいとは思わなかったが、聴き込んでいくうちにどんどんと引き込まれてしまった。前作「All That You Can’t Leave Behind」はU2のアルバムでは「The Joshua Tree」についでのセールスを記録したようだけど、僕はあまり好きになれず、数回聴いただけでやめてしまった。新作は前作の延長線上にあることは確かだけど、1stシングルの「Vertigo」に代表されるように音の色合いはかなり違い、Edgeのギターが前面に出て、聴かせる音になっている。そして楽曲は捨て曲が全くなく、心の奥底に訴えかけるような感動的な曲が並んでいて、涙が出そうになるくらいだ。

 今からもう20年くらい前のことだ。当時、深夜ラジオで全米トップ40という番組をラジオ関東でやっていた。湯川れい子さんがパーソナリティをつとめ、僕は毎週そのトップ10をノートに書き写していたりしたのだけど、その後に大貫憲章さんと今泉恵子さんがパーソナリティの全英トップ20という番組が放送されていて、その中で「Sunday Bloody Sunday」を聴いたのがU2との出会いだった。

 イギリスによる北アイルランドの惨劇を歌ったこの曲は衝撃的だった。僕はすぐにこの曲が収録されているアルバム「War」を買い、それこそ毎日何回も聴いていた。当時まだ学生だった僕には時間がいっぱいあったのである。「War」というアルバムの音を僕は奇跡だと思っている。これほど緊迫感に満ちた音はこれより以前も、そして以降も聴いたことはない。

 そして僕はU2のアルバムが発売されれば必ず買うようになった。U2というバンドはロック音楽そのものといってもいいかもしれない。ロック音楽が持っているありとあらゆる要素、その欠点までも持ち合わせ、それを表現している唯一のバンドのように思う。圧倒的な世界観を感じる「The Joshua Tree」「Achtung Baby」などいまだに、たまにCDラックから取り出して聴いていたりする。21年間もリアルタイムで聴き続けたアーティストは今のところU2とMadonnaくらいだろうか。

 そして今作…、休みが来るのがほんとに待ちどうしかった。情けないことに、ヘッドホンが壊れてしまったため、あまり夜遅くに聴くということができないのだ。幸い、木曜日辺りから、やや早く帰れるようになったので、ボリュウムを押さえ気味にして聴いていたりしたのだけど、やっぱりある程度の音量で聴きたい。

 今日は特に予定もないため、3回も聴いてしまった。ほんとに聴けば聴くほどいろいろな味が出て来るすばらしいアルバムだ。デビューして25年経って、こんな瑞々しい音が創れるなんて、ほんとにすごい。前作を聴いて「もうU2は終わった」と思った自分が恥かしい。

前にも書いたけど、秋の夜長にはいい音楽が一番だ。(2004.11.28)




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