旅に出たい

 先週の日曜日に続き、昨日(土曜日)も羽田空港近くにある城南島海浜公園にバイクで行った。先週の日曜日は快晴で暖かな1日だったため、人ばっかりで落ち着いた気分になれず、すぐに帰ってしまったけど、昨日は晴れていたものの雲が多く、木枯らし1号も吹いたように肌寒い1日だったため、それほど人も多くなくてのんびりできた。

 人工の砂浜が目前に広がるところにある木製のベンチに腰掛け、近くの自動販売機で買った缶コーヒーを飲みながら、静かな海をぼんやりと見ていた。浜辺には犬が散歩していたり、子供と両親が貝を獲っていたりと和やかな風景があった。東京のあまりきれいとはいえない海でも、潮の香りがして気持ちよかった。夏の混雑した海にはあまり行きたいとは思わないけど、秋や冬の寂しくて静かなそれでいて穏やかな海は居心地がよくて、いつまでもいたくなる。そして、旅に出たいな…そう思った。

 旅に出たいと思い始めたのは、もうずいぶんと前のことだ。毎日、毎日、会社への往復で終わる変わりばえしない日常をおくっていると、ついついそういう気持ちになってしまう。旅は僕にとって現実からの逃避というよりは、鬱陶しい日常からの逃避のように思う。正社員として働いていたときは、それで2回会社を辞めて、旅に出てしまった。

 自分の場合、旅といっても、絶景を見たいとか、美味しい物を食べたいとか、いい温泉に浸かりたいだとかそういう気持ちはあまりなく、ただ、日常と違う空間に行ってみたいだけなのだ。だから、観光名所などというものは必要なくて、むしろ何もないようなところがいい。できれば、時間が止まってしまったような風景が残っている場所に行ってみたい。誰からも忘れ去られたようなひっそりとした場所に…

 今の日本にそのような場所があるのかどうかわからないが、東北や北陸、あるいは信越地方などに残っていそうな気もする。以前、会社の仕事で新潟の柏崎市まで出張したことがある。その時は長岡まで新幹線に行き、そこから信越本線で柏崎に向かったのだけど、その途中に辺りに何もなく忘れ去られたような駅舎がいくつかあり、その雰囲気が僕の求めている風景に近い感じがして、こんなところを旅してみたいなと思ったりした。

 城南島からアパートの部屋に戻った後は、しばらく地図を見て、良さそう場所を物色した。僕は地図を見て、その地形や道路の状況とかでその辺りの雰囲気を想像するのが好きだ。さいわいにして、今の自分はアルバイトという立場だから、1ヶ月といったら「もう来なくていい」とか言われてしまいそうだけど、1週間程度の休みなら仕事がそれほど忙しくなくなる5月にはとれそうで、いろいろと考えている。

 バイクにキャンプ用品を積んで、誰からも忘れ去られたような土地をのんびりと周ってみたい。あるいは久しぶりに鈍行列車での旅なんていうのも楽しいかもしれない。窒息してしまいそうな日常…、旅に出ると新鮮な空気が心の中にいっぱいに入ってくる。(2004.11.14)




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