斜陽

 朝起きて南側のサッシのカーテンを開けると、冬の低い陽が部屋の中いっぱいにのびてきた。ふとんの横にある時計を見ると10時半。もう‘朝’というには気恥ずかしい時間になっていた。

 まだ、外の暗い頃に一度起きて長々とトイレで放尿をした。その時、もうちょっと眠ったらバイクで鎌倉まで行こうかと考えていた。鎌倉に行きたい明確な理由があるわけではない。ただ、正月休みのとき、鎌倉の何処かのお寺にでもお参りに行こうと思っていて、それが今日までできずにいてあの辺りは海もあるし、行こう行こうという気持ちだけ続いていて、それが実行されないでいるだけなのだ。

 そしてそれは今日も実行できなかった。10時半に目が覚めると、体が気だるくて仕方がなかった。この1週間、特に週の後半は仕事が暇で午後などほとんどといっていいほどなかった。仕事がないというのはそれはそれでけっこう疲れるものらしい。アルバイトの中には12時で上がらせられる人が多かったが、誰かが残っていなくてはならず、その役目が僕だったというわけだ。12時で上がらせられた場合、精神的には楽だけど経済的にはきつくなってくるので、退屈ではあるが耐えないといけない。

 とにかく何かを食べようと思い、冷凍たこ焼きを電子レンジでチンして食べたら、やっと頭がすっきりとしてきた。だけど、あまり外に出る気にはなれず、食事をとった後はふとんを片付けて冬の低い陽が差し込む部屋の中で横になり、その肌にあたる感触を愉しんだ。

 よく考えてみると、真夏だと太陽は高い位置にあるから、今のように部屋の中まで陽が差し込むことはない。しかし、冬の陽は低い位置にあるため、僕の部屋の奥まで差し込んでくれる。真夏の太陽のように真上からぎらぎらと照りつける強い自己主張はないけれど、やさしい柔らかい陽をのばしてくれる。

このHPもそんな冬の陽のような存在になれたらいいなと思った。(2004.1.31)




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