仕事納め

―この一年を振り返って―

 昨日26日で今年の仕事も終わり、アルバイトの契約も希望通り長期になり、ほっと一息というところ。それにしても今年は辛い一年だった…。

 去年の今頃は毎日のように職安に通い、とにかく早く仕事を見つけなければと自分をほとんど見失っていた。好きな競馬も楽しくなく、ジャパンCダートの馬券を渋谷のWINSに買いにいった帰りに、ふと自殺願望に襲われて怖くなったりした。友達といっしょに遊びに行った時も、電車に揺られながらそんな気持ちに心が覆われたこともあった。

 だけど、自分は勇気がないから自殺など、できないことはわかっていた。夜中にストレスからか胸というか心臓が苦しくなることがよくあり、その度にこのまま死んでしまえば楽になれるなと思ったりした。

 年末にいくつか自分でもできそうな仕事がみつかり、年が明けてから応募したけど全滅して、ますます絶望感は強くなった。しかし、自分がやらなければいけないことは、まず仕事を探すことだということだけはわかっていた。やりたい仕事を探すというより、雇ってくれるなら何処でもという感じになっていた。そして、心にかなりの引っかかりを残しながら、私用の有給休暇は認めず、残業も月に80時間以上という零細企業で働くことになった。残業が多いため給料はよかったが、だめだった。従業員が5〜6人の会社で仕事も面白くなく、さらに人間関係もよくなかったら救いはどこにもない。2月から働き始めて、4月末に退職…僕はまた雇用保険受給者となった。

 だけど、その会社を辞めた時、何故かものすごい開放感があった。そして前々からやりたいことのひとつだったHPを5月に開設した。朝、起きてFMラジオをONにして、紅茶を飲みながら駄文を書いたり、気が向いたときは散歩やサイクリングをするといった日々が続いた。少しづつだけど生きているのが楽しくなった。阪神タイガースの快進撃がその気持ちを後押しした。

 雇用保険が出ていた7月末までは比較的気楽だった。前の会社を辞めた4月末から、雇用保険が切れる7月末までに応募した会社はわずか1社だけだった。それも雇用保険が切れる寸前になってやっと重い腰を上げ、応募したものだった。

 貯金を食いつぶす生活は不安が大きくなっていくが、何故か8月に入ってもサイクリング三昧ののんびりとした日々が続いていた。職安には足繁く通っていたけど、前のように何でもいいやという気持ちはなかった。しかし、明確な目標があるわけでもなかった。やりたくないものはわかっていたが、やりたいものはわからなかった。

 9月に入り、タイガースの優勝がほぼ確実になった頃、自分の今までの経験を生かせそうなアルバイトを見つけ、応募した。そして運良く採用になり、タイガースがリーグ優勝を決めた次の日から働きだし、今日に至る。

 アルバイトを始めてから世間一般でいわれる‘プライド’というものがいかに厄介なものかということを実感した。それまで社員としてアルバイトを使う立場にあった自分が、その逆の立場になった。社員のときはアルバイトの気楽さをうらやましく思っていたけど、自分がその立場になると心に割り切れないものが残った。それが恐らく‘プライド’というヤツなのだろう。そんなものに知らず知らずのうちに捕まっている自分が情けなく思え、格好悪く思えた。だけど、それはどうすることもできない感情であり、未だに時折自分の心を覆うのだ。

 だけど、よくなった点もある。それまでは仕事漬けで家に帰ってまで作業の段取りを考えたり、PCで書類を作ったりしていたけど、今ではそれから解放され、いろいろなことを考えられるようになった。読む本の幅も広がったし、音楽も以前より深く心に入るようになった。

 とにかく今日から休みだ。子供の時、楽しかった冬休み…。それが少しだけど、帰ってきたような気がする。(2003.12.27)




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