朝起きたら、秋の弱い陽光がくもりガラスの窓から深く部屋に差し込んでいた。どうも昨晩はカーテンを閉め忘れて眠ってしまったらしい。しばらくその弱いけど優しい陽の感触を肌で楽しんでいたが、窓を開けて部屋に招き入れたくなり起きた。 部屋の東側と南側についている窓を全開にしてアコーディオンカーテンになっている押し入れを開けて、ふとんを片付けた。ふと東側の窓の外を見ると、コンクリートで舗装された路地に茶色と白のトラ猫が気持ち良さそうに寝そべっていた。窓からのぞいている僕に気づいて、ちょっと驚いた表情を見せたけど、また寝そべり体を気持ち良さそうにコンクリートの路地に伸ばした。東南の方角から差し込む陽光が猫をやさしく包んでいた。 ふとんを押入れにしまい終わった僕は窓から路地に寝そべる猫の姿をぼんやりと眺めていた。彼は時折、首をもたげ足とか首の後、下肢の部分などを丹念に舌で舐めていた。眠いのか、それとも自分を包んでいる斜陽がまぶしいのか、彼は目を開けるのが億劫な感じでまどろんでいるようだった。彼の後に止まっている隣の家のグリーンの4WDの下から黒と白のブチ猫がのそのそと歩いて彼の横を通り過ぎていった。この猫はよく家の周りで見かける彼の相棒だ。 落ち着いた気分でこの風景を見たくなり、紅茶を用意して窓辺に戻ると猫はすでにいなくなっていて、無機質なコンクリートに陽が伸びていた。相棒に誘われて何処かに遊びにいったのだろうか?秋の静かな一日の始まりだった。(2003.10.18) |