扇風機とエアコン


本来だったら夏真っ盛りのこの時期なのに、ここのところ毎日、雨、雨、雨…
さらに気温も低くて最高気温が20℃くらいの日もあり、10月下旬の頃の陽気らしい。あまり暑いのもいやだけど、やっぱり夏は夏らしくなってほしい。天気予報では明日辺りから夏らしくなるとのことなのでそれを期待しよう。

 こういう日が続いているものだから、この夏、エアコンはほとんど点けてなく、3〜4日くらいしか使った記憶がない。涼しいおかげで電気代だけは節約されている。

 エアコンを買ったのはもう10年以上前だった。東京の23区内に住んでいる人ならわかると思うが、いつもの東京の夏は異常な暑さなのだ。周りはほとんどコンクリートとアスファルトに囲まれ、それが太陽の陽を反射したり、熱を吸収するため夜になっても暑い状態がつづく。地方に旅行などに行くと昼間は暑くても夕方になり、夜になればそれなり涼しくなるところが多いけど、東京は24時間暑さがつづき、何か冷房機具がないと眠ることもままならないほどだ。僕はその暑さに耐えかねエアコンを買った。

 それまでは扇風機を使っていたが、エアコンだと部屋全体を冷やしてくれるので楽だった。あれだけ寝苦しかった夜も2時間くらいで切れるようにタイマーをセットすることによって、快適な睡眠が得られるようになった。

 しかし、エアコンで快適な睡眠を得るためにいろいろとその代償があることに気づいた。まず、電気代がやけに高くなってしまった。それと僕のアパートの部屋はブレーカのアンペアの許容電流が小さいため、エアコンを使っている時は他の電化製品を注意して使わないとブレーカが落ちてしまう。エアコンから送られる風は人工的な冷たさだから、体の調子が悪くなってしまった。それにエアコンは自室には冷たい風を送るが、室外機から熱風を外に吐き出すため、外の気温をさらに上昇させているような気がする。自分だけよければいいという利己主義につながるようなあさましい気がした。

 そんなことを思っていたら、最近は扇風機が見直されているらしい。電気代も安くてすむし、風も体にやさしく自然でいい。それにエアコンだと窓を閉め切らないといけないけど、扇風機だったら窓を全開して使える。夏、部屋の窓は開けっぱなしじゃないと気分が悪い。

子供の頃、母の実家での光景を思い出した。


ちょっとした庭があり、その庭には祖父が丹精していた盆栽が並んでいて、その先は桑畑…
縁側の窓は開けっぱなしで、青く透き通った扇風機の羽が一枚の板になったように回っている。
子供達は風を送り続ける青い板に向かって「あ〜」とか「え〜」とか声をぶつけて、青い板はその声を刻む。
おばあちゃんがスイカなど持って来てくれて、縁側に出てその種の飛ばし合い…
いつの間にか扇風機は縁側に顔を向け、その顔は右から左、左から右にと、子供達ひとりひとりに勢いよく息を吹きかけてる…


扇風機にはそんな懐かしさがある。この夏は扇風機だけで過ごそうと思う。そんなに暑い夏になりそうにないし…(2003.8.18)




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