マスクを外そう

 メジャーリーグも開幕になり、大谷選手の活躍がテレビでも頻繁に報道されるようになった。その背景には多くの観客が映し出されるが、マスクを着用している人は皆無である。これはメジャーリーグだけでなく、ヨーロッパのサッカー中継を見ていてもマスクをしている人はほとんどいない。

 ヨーロッパでは新型コロナの規制を撤廃する国が相次ぎ、アメリカでは公共交通機関でのマスク着用義務を米フロリダ州の連邦地裁が無効とする判決を出したことで、米国の航空会社は機内でのマスク着用を任意とすると発表した。地上では全米鉄道旅客公社が乗客と従業員のマスク着用を義務としないことを決めた。

 このような脱マスクの流れが世界的になっている現在、日本医師会会長から「日本ではマスクを外す時期は来ないと思っている」という信じられない発言があった。この発言については、他の医師からも批判がでている。多額の補助金を得るためコロナ禍を終わらせたくないという思惑のあるようにしか思えない。

 マスクをしていると感染しないと思っている人もいるが、はっきりいってしまえばマスクに感染予防効果はない。マスクの効果は風邪やインフエンザにかかって咳の症状のある場合、その飛沫の拡散を小さくすることだけだ。ウイルスの大きさとマスクの網目の大きさを比べれば容易にすり抜けることは明らかだし、そもそもすき間だらけである。

 マスクがあまり有効ではないのは、マスク着用を奨励せずみんながノーマスクだったスウエーデンと屋内や公共交通機関などでのマスク着用義務が最近まであったイギリスの人口当たりの感染者数がイギリスのほうが多かったりすることからもわかる。また、デンマークのコペンハーゲン大学院はマスク着用で感染率が変わるのかという実証実験を行った。新型コロナに感染していない6000人を募り、3000人には外出時に常にマスク着用を義務付け、もう3000人にはマスクなしで行動してもらうという調査だった。一か月の調査期間を終え、マスク着用組の感染率は1.8%、マスク非着用組の感染率は2.1%だった。統計的には誤差の範囲ということで「統計的に有意な差は得られなかった」と結論を出している。

 効果があまりないとしても、マスクを着用しないよりは着用した方がいいという意見はあると思う。ただし、この意見については、マスク着用の弊害がなければ…という条件がつく。マスク着用の弊害はあまり語られていないというか研究もそれほどされていないと思う。何故なら、こんなに長期間にわたってマスクの着用に続けたことはなかったからだ。

 マスク着用の害としてまず上げたいのは酸欠だ。朝、乗っていたバスが遅れたため、バス停から階段を下り、改札まで50mくらい走り、ホームに繋がる階段を駆け上がり、ホームにでた。幸い、電車はまだ来ていなかったので、ベンチに座ったのだけど息苦しくて仕方なかった。肩で息をするような感じで、これはひょっとしたらコロナに感染しているのではないかと思ったほどだった。マスクを外すと徐々に息苦しさは解消し、マスクが原因だったとわかったのだった。中国でN95マスクを着けて走った子供が酸欠で亡くなり、日本でも同様な事があった。

 人は空気中の21%の酸素を吸い、酸素濃度15%の息を吐いている。人は16%以下の酸素濃度の空気を吸い続けると酸欠状態になる。マスクをしているとマスク内に溜まった自分の吐いた息と外から流入してきた空気を吸っていることになる。マスクのすき間から流入する空気は多いと思うが、外気と全く同じとは思えないから17〜19%くらいの酸素濃度ではないかと思う。すぐに酸欠にはならない濃度だが、これを長時間吸い続けるとどのような影響があるかはわからない。

 マスクをすると息苦しくなる。それは呼吸の浅くなるためで、より多く空気を吸おうと呼吸の回数は多くなる。それにより、肺や心臓に負担がかかり、慢性的な疲労が心配される。満足な空気量を吸えないから、口呼吸にもなりやすい。鼻呼吸なら、ウイルスを吸い込んだとしても優れたフィルターにより、感染を防げる可能性も高くなるが、口呼吸だとそのまま肺までウイルスを吸い込んでしまうため、重症化に繋がるという指摘もある。

 あるサイトのマスクの交換頻度に関するアンケートをみると、約6割の人は一日中同じマスクを使い続けている。一日2回以上の頻度で変えるという人は約1割で、3日に一度という人も3%いた。口の中の雑菌は非常に多く、大腸と同じくらいといわれ、その種類は300〜700種類もある。当然、マスクの内側も時間の経過と共に雑菌は増えていく。それに、手や空気中にあるウイルスや雑菌がマスクに付着する。一日使用したマスクに着いた雑菌を培養した写真をみると、真っ黒になっていたりして、どれだけ汚れているかがわかる。それをずっと付けているのだから、不衛生極まりないことは確かである。

 また肌との物理的接触のため、肌荒れやニキビの原因になり、肌の弱い人などは深刻な問題になると思う。こういった体の問題だけでなく、心に及ぼす影響も考慮しないといけない。特に幼い子供は大人の顔の動きがわからないため、言語習得が遅れるといった報告が海外から上がっている。子供に限らず、コミュニケーションに悪影響を及ぼしていることは明らかで、人と人との心理的距離が広がっていく。個人的には、ほぼ全員がマスクをしているマスク全体主義に圧迫感を覚え、ストレスを感じる。

 ただ、現在の日本において一斉にほとんどの人がマスクを外すということは難しいように思う。みんながマスク着用を続けるのは、同調圧力と思考停止によるものだから、それなりの立場の人が「もうマスクはしなくていいよ」と言わない限り、この状態は続く可能性がある。自分の頭で考えて自主的にマスクを外すことは日本人のメンタリティでは難しい。日本では外国のようにマスクの着用が義務化されているわけではない。ただ、混雑する場所や他人と近い距離で会話するときに推奨されているだけだ。したがって解除宣言はないだろう。みんなが空気を読んで着用しているだけなので始末が悪いのである。

 今更ながら日本人のインテリジェンスとメンタリティに絶望的な思いがするが、多少の変化はでてきている。家の近所を歩いている分には、マスク着用率は6割くらいである。駅周辺とか電車の中ではマスク着用率は100%に近いが、付けていない人もちらほらと見かけるようになった。

 マスクの着用義務が撤廃されたイギリスやアメリカで感染者が爆発的に増えたという事実はない。感染者数にほとんど変化のないところにみると、マスクの効果はほとんどないことが実証されたように思う。もうそろそろマスクを外して、自由に生きよう。

 一時、新規陽性者が60万人を超えていた韓国は5月2日、野外のマスク着用義務を解除した。現在の新規陽性者は約5万人である。(2022.5.4)


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