マスク会食の危険性

 緊急事態宣言解除後、大阪府のPCR検査陽性者が増えてきた。それに伴い、まんえん防止等重点措置が大阪、兵庫、宮城に発令された。まんえん防止等重点措置を根拠として大阪府の吉村知事はマスク会食の義務化を打ち出している。しかし、マスク会食、どう考えても危険極まりないものだと思う。

 マスク会食とは会食中、会話の際にはマスクをつけましょうというものである。当然、厳密にやろうとするとマスクを付けたり外したりを繰り返すことになる。神戸新聞の記者が試したところ2時間でマスクの着脱は65回に及んだという。

 現在、ほとんどの人がマスクを着用しているが、どのくらいの頻度で交換しているのだろう?各種のアンケートを見ると約6割の人が一日中同じマスクをつけているという結果が出ている。もし、新型コロナに感染した人が一日同じマスクを使い続けたら、膨大なウィルスがマスクには付着しているはずだ。

 当然、一日のうちに何回もマスクの着脱はしているだろうから、ウィルスはヒモの部分も含め全体に及んでいると考えられる。大量のウィルスに汚染されたマスクを触ることによってウィルスは手を介して、方々へと拡散されていくと思われる。トイレに行ったり、ドリンクバーやサラダバーを取りに行ったりすれば、ウィルスは店内に広がっていく。さらに着脱を繰り返すことで、マスクの内側に溜まっている大量のウィルスが周囲に漂いだす可能性もある。

 飲食店の従業員にも感染の可能性は高まる。感染者が自身のマスクを頻繁に触ることによって、手に付着した大量のウィルスは箸やスプーン、ナイフ、フォーク、お皿、コップやグラスなど手に取ったもの全てに移っていく。それらを片付ける店員さんにも感染の危機が高まり、明らかに危険である。

 新型コロナに感染していない人はそもそもマスク会食する必要はないし、また一日中マスクをつけているからその外側にウィルスのついている可能性もあり、マスクを頻繁に触るということはかえってリスクを高めてしまうような気がする。

 もし、マスク会食を安全にするなら、店内で新しいマスクに変えて、さらに新型コロナに感染していれば新しいマスクも徐々にウィルスで汚染されていくから、マスクを触るたびに手指消毒をしなくてならない。果たしてそんなことできるのだろうか?と考えると、できる人もいるかもしれないが、まず不可能である。

 インフルエンザの予防法として20分に一度水を飲むと話していた感染症の専門医がいた。ウイルスが喉に付着してから細胞に感染するまで20分くらいなので、その間隔で水を飲めばまず感染を防げるという。飲食店という特性を生かして、客にこまめな水分補給を奨励するようにした方がはるかに感染を防げる気がする。さらに、水や緑茶、またはアルコール類などの飲み物の種類によってウィルスの排出を抑える効果の違いを調べてほしいと思う。

 そもそも飲食店で新型コロナに感染するのか?という疑いがある。コロナのクラスターの起きているのは病院、カラオケ、ライブハウス、介護施設などである。飲食店でクラスターを起こしているのはキャバレーやカラオケを伴うもの、そして居酒屋である。これらを考えると、大声、密着、大人数というキーワードが浮かんでくる。逆にいうと少人数で普通に食事をしている分にはほとんど安全といえる。

 マスク会食は危険極まりないものだと思う。普通に考えればわかると思うのだけど、何故、頭のいい人たちがわからないのか、とても不思議な今日この頃である。(2021.4.4)


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