GO TOキャンペーン

 7月22日に前倒しされたGO TOキャンペーンだけど、世論的には実施に反対が多いようである。反対の理由は、今が時期ではないというものが圧倒的で、その背景として東京をはじめ各地で新型コロナウィルスの感染者数が増えていることが挙げられる。実際に観光地でのインタビューでも「東京からの旅行者は怖い」という人は多い。

 GO TOキャンペーンが前倒しされたのは、疲弊する観光業を救うためだ。観光業は今や日本経済を支える最も太い柱になりつつある。基幹産業が崩壊したら、日本経済にとって大きなダメージとなり、何としても持ちこたえさせようという意図を感じる。

 ここ数年、夏の旅行で感じたのは宿をとるのが難しくなったということだった。妻と結婚した当初、自由な旅行がしたいものだから、宿は当日に取るようにしていた。それでもそれほど苦労することなく、宿をとることができた。しかし、最近はダメである。満室ですと断られることが多く、酷い時など十数件空きのないこともある。理由は外国人旅行者が増えたからだ。

 観光地へ行くと、それは実感され、中国や韓国からの旅行者で溢れていた。有名なところだけでなく、比較的マイナーな観光地でもそれは変わりない。いや、むしろマイナーなところの方が多いともいえるかもしれない。木曽路を実際に歩いて周っているのはほとんどが欧米の外国人旅行者だったりする。

 しかし、現在はコロナにより、外国人旅行者は皆無に近い状態になっているし、日本人旅行者も激減して、旅館やホテル、観光バス会社などで倒産するところが相次いでいる。問題は新型コロナの影響というより、恐怖を煽るテレビ等によって人々の心が縮こまってしまっているせいである。

 連日、今日の東京の感染者は○○人です、感染は全国に広まっていますとアナウンスされれば、誰だって旅行しようという気分にはならない。さらに専門家と称する人達や、アナウンサーやタレントまでが深刻な顔をして、現状を憂いた発言を繰り返しているし、カメラは街角や観光地を映し出し、こんなに多くの人たちがいますと非難がましく中継して自粛キャンペーンをしている。

 多くの人が心理的圧迫を受け、コロナに感染することは悪いことで、さらに移動して感染を拡大させれば極悪人というような感覚に陥っている。実際に感染した人でうしろめたさを覚えたという人は多く、また、感染したのは本人に原因があると思っている人はアメリカで1%、イギリスで1.49%、イタリアで2.51%なのに対して日本では11.5%と圧倒的に多い。

 また、日本人はコロナの危機感もずば抜けて高い。感染を恐れるかという質問に対して80%の人が「非常に恐れる」「多少は恐れる」と回答している。同じ質問で日本よりはるかに多くの死者を出しているイタリアで68%、アメリカ60%、フランス59%、イギリス54%、スウェーデン46%、ドイツ44%となっている。日本人が他国に比べて死者数は圧倒的に少ないにもかかわらず強い危機感を持っている理由に対しては自然災害が多いからという分析もある。

 この二つの調査により、日本人はコロナに感染することに罪悪感を持っており、コロナに感染した人に対して嫌悪感を覚え、さらに感染に対する恐怖心が強いということがわかる。これは感染者を犯罪者扱いしてきたマスコミの影響が大きいように思う。感染した有名人はほとんどがバッシングの対象となっているし、また、有名人でなくても不適切な行動をとった個人への非難も激しい。

 死者数や重症者数は激減しているのにもかかわらず、感染への恐れは緊急事態宣言発令の頃とほとんど変わっていないように思える。電車に乗るのが怖い、外に出るのが怖い、そのような精神状態の人が旅行を楽しめるのだろうかと疑問になる。現在、再び感染者数は増えているが、実際はどうなのだろうか?

 4月の上旬、非常事態宣言の頃の東京都のPCR検査数は1000件前後なのに対して、最近では5000件を超えることもあり、4〜5倍に増えている。4月の上旬の陽性率は30%を超える日が続いていた。それを考えると、単純に推測はできないが、もし4月上旬に現在くらいのPCR検査を実施していたら東京で一日1500人を超える感染者の出た日もあったはずである。

 疲弊した観光業界を救うため、政府がキャンペーンをゴリ押ししているという見方が強いがそれだけではないような気がする。政府は新型コロナを見切っているのではないかと思うのである。政府が新型コロナを見切っているというのは、ある程度感染者が出ても仕方ないと考えているということではなく、感染者はある程度増えても、死者や重傷者の割合は少ないという見解を持っていると思われる。

 新規感染者は全国で1500人を超えるほどまでに増えているが、重傷者、死者はそれほど増えていない。この指摘に対して「いや、重傷者や死者は遅れてやってくる。感染が増えてから2週間後から増え始める」という意見がある。それでは感染の再拡大が一番早く始まった東京をみていくと、収まっていた感染者(ほんとは感染者ではなく、PCR検査陽性者とするべきだが面倒臭いので感染者とする)が、再び100人を突破したのは7月2日、200人を突破したのが7月9日である。7月2日の重傷者は9人、それから2週間後の7月16日は7人だった。

 その後、感染者は増え続け、重傷者も7月30日には22人となった。このまま増え続けるのかと思っていたが、8月2日現在重傷者は15人である。死者も全国でここ一月は0〜5名の間を推移しており、増える兆しはない。これは日本だけでなく、ヨーロッパ諸国も同じでロックダウン政策を採用したイタリア、イギリス、ドイツ、フランスなどや、ロックダウン政策を採用しなかったスウェーデンなどどちらでも同じ傾向になっている。

 原因としては、気候の変化によるウイルスの不活性化、ウイルスの変異による弱毒化、また日本独自のものとしてPCR検査の偏り、集団免疫の獲得などが挙げられているが、はっきりとした答えは出ていない。恐らく政府はこういった国内外の動向や専門家の意見から、GO TOキャンペーンをしても大丈夫という判断をしたのではないだろうか?

 しかし、コロナはそれほど怖がるべきウイルスではありませんとアナウンスした場合、もし、逆のこと(死者や重傷者の増加)の起きたとき、政権の命取りとなる可能性のあるため、もやもやとした態度に終始しているように思われる。僕はGO TOキャンペーンに対しては賛成だし、緊急事態宣言を再度発令する必要も全くないと思うが、このもやもやした態度が医師会や地方自治体そして多くの国民の不信感に繋がってしまっている。この状態を打開するためには、やはり現状をきっちりと理論的に説明する必要があると思う。(2020.8.2)


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