自粛を考える

 酷い状況になってきた。コロナウイルス感染拡大のことではない。自粛のことである。テレビでは相も変わらず「コロナウイルスの感染拡大は止まりません」とかいっているが、たいして拡大しているとは思えない。インフルエンザは今シーズン、コロナの影響か730万人とすくなかったが、1シーズンでだいたい1000万人前後が感染し、死者数は3000人(関連死を含めると1万人)である。これと比較するとコロナ感染者数は全国で1日300〜400人程度であり、累計で13000人、死者数は320人ほどである。

 テレビをみていたら、湘南や房総の海岸に集まるサーファーが非難の的になっていた。多くの人が訪れ、周辺道路では渋滞も起きるほどだったというが、サーフィンで感染が拡大するとはとても思えないのである。サーフボードを持ち運ばなくてはいけないから、車で移動ということになるし、海に入って波に乗るわけだから、‘密’になるとも思えない。サーフィンの後にみんなで集まって飲食でもすれば別だけど、波乗りを楽しんですぐに帰る分には全く問題ないように思う。

 また、登山の自粛ということもいわれだしたが、これも感染拡大に繋がるとはとても思えない。そもそも、野外で行うスポーツに関しては、心配する必要はないと思う。直射日光の下ではウイルスは短時間で死滅するという報告もあるし、密さえ気を付ければ屋外の方が感染リスクは低いのではないだろうか。かえって家の中にずっと閉じこもっている方が不健康で、免疫力を下げ、ストレスもたまり、感染リスクを高めてしまうということも考えられる。

 さらには人の集まるのを避けるために、千葉県佐倉市の佐倉ふるさと広場ではせっかく咲いたチーリップの花80万本を刈り取った。同じようなことは沖縄市やさいたま市でも行われた。これに対して堀江貴文氏は「刈っている時点で狂っているし、それを狂っていると思わないことが狂っている」と発言しているが、僕も全く同感である。

 佐倉市のケースではチューリップフェスタを中止、その後、看板を設置し、出入口を封鎖したそうだが、それでも人が集まってしまうため、苦渋の決断だったという。この場合、出入口を封鎖などせず、できるだけ立ち止まらないように注意し、自由に見学させても、野外であるしそれほど感染のリスクはないように思うし、そもそも、それほど感染は広がっていないのだ。

 また、今度はスーパーが‘密’になっているということで、東京都は苗字や生まれ月による入場制限を検討したようである。これを思いついた人は、どういう頭をしているのだろうか?全くスーパーなどに行く必要のない人なのか、それとも暇でいつでもスーパーに行ける人なのだろうか?幸いにして、この案はボツになったようだが、もう少し庶民の生活を考えてもらいたい。もし、スーパーが密になっているというのなら、時短営業などさせず、通常通りの営業時間に戻すか、営業時間を増やすようにすればいい。

 身の回りでも、人が集まるという理由からか、ベンチが撤去されたり、座れないように縄でぐるぐる巻きにされたりしている。これなども「狂っている」行為だ。足腰の悪い人や弱っている人は、何処で一息つけばいいのだろうか?コロナのことで頭がいっぱいになり、何かやらなければと焦り、めちゃくちゃな方向に動いている事例は他にもたくさんある。

 飲食店なども、それほど感染リスクを上げずに営業する方法はいくらでもあると思う。クラスターの起きた場所はライブハウスやスポーツジムなどだ。屋内で、換気が悪く、多くの人が集まり、長時間しゃべったり、大声を出したり、呼吸の荒くなるところである。大勢で卓を囲んでお酒などを飲んでわいわいやる居酒屋などは感染リスクも高くなるように思うけど、独り静かに隣の客とも距離をとってする食事は問題ないのではないか。そのような環境が提供できれば、営業してもいいと思う。

 アメリカの国土安全保障省の高官は「新型コロナは太陽光や高温・多湿に弱い」という研究結果を発表した。これによると、新型コロナが最も生存しやすいのは屋内の空気が乾燥した環境で、気温と湿度が上がれば威力を失い、特に日光に弱いということである。もし、この研究結果が正しいとするならば、ステイホームではなく、天気のいい日には人と人との距離に注意して、散歩や日光浴をした方がいいということになる。

 何でも禁止する前よりも、どうしたら感染リスクを抑え、経済を回し、生活を回復していくことができるかということを真剣に考えた方がいい。(2020.4.26)


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