年収200万円のパートでも、家は買えるか?

9.リフォーム業者の選定

 住宅ローンの審査に通ったことにより、いよいよリフォームの準備を始めることにした。まずは業者を決めなくてはならないが、身近に伝手は無く、不動産店に紹介してもらうか、ネットで探すか、そのどちらかだった。家の価格が980万円から900万円になったことにより、リフォームに300万円までかけることができるようになり、かなりのことができそうで、妻の機嫌はよくなった。

 ネットで探すのには不安があった。確かに検索して調べていくと、安い業者はいくつか見つかった。しかし、リフォームで一番重要なのは、安さではなく、いい仕事をしてくれるかどうかである。安かろう、悪かろうでは仕方ない。ネットで安いリフォーム会社の評判を調べると、「下請けに丸投げ」とか「クロスが糊だらけ」とか、酷いものでは「音信普通になった」というものまであった。定額リフォームを謳っている会社などは、一見、良さそうに見えるが、仕事は提携している下請けに丸投げのため、その会社または個人の腕のいい場合はいいが、悪かった場合は悲惨なことになりかねないリスクが感じられた。

 そこで、まずは不動産会社に紹介してもらうことにした。さらに、ネットに見つけた安い会社から、よさそうなところを一社、さらに、ネットのリフォーム会社を紹介してくれるサイトで紹介してもらった中から一社を選定し、その三つの中で一番よさそうなところに依頼することにした。

 まずは不動産会社からの紹介である。担当者にリフォーム会社を紹介してくれるように頼むと、「うちの紹介するところは、高くなってしまいますよ」と何故かあまり乗り気ではないような返事だった。不思議な思いを持ったが、その理由はあとでわかった。

 しかし、重ねてお願いすると、それではということで、一社、紹介してくれた。不動産会社の紹介となれば、価格は期待できないかもしれないが、信頼度は一番である。もし、それなりの金額だったら、他の所よりも若干高くても、ここに決めようと思っていた。

 そして、次はネットで見つけた安い会社である。価格も大変安く、ここだったら、考えているリフォームのほとんど全部を行うことが出来る。見積もり申込みをネットから、行った。

 最後は、リフォーム会社紹介サイトである。ネット上のフォームに必要事項を記入したら、数日後に何と12社も紹介された。通常は8社らしいが、多くの会社から応募があったらしく、12社になったそうである。まずはひとつ、ひとつ、紹介された会社のHPや紹介サイト内の顧客満足度やコメントなどを参考にして、絞り込むことにしたが、数が多く遅々として進まなかった。

 日曜日、まず、不動産会社から紹介されたリフォーム会社が見積もりに来た。男性が二人で、一人は会社の社長だった。僕は予算を告げることなく、とりあえず行いたいリフォーム個所を伝え、重要性の低いものから削っていこうと考えていた。

 キッチンの交換、DKに繋がる和室をフローリング張りの洋室にして、できるだけ一体化する、浴室をシステムバスに交換して、あとは全面的なクロスの張り替えと二階和室の畳の表層張り替え、されに襖の張り替え等をひとつひとつ現場を見ながら説明していった。

 こちらの要望を聞きながら、リフォーム会社の方が、より安い工法を提案し、相談しながら、どのように行うかを決めていった。一番、綿密に話しあったのは、一階和室を洋室に換えるやり方である。壁の処理の仕方や段差の解消など、細かい部分まで話しあった。ただ、僕は予算を伝えていなかったが、不動産会社の担当者からだいたいのことは聞いているような雰囲気で、これだけ行うともう予算オーバーですねなどといっていた。さらに、二人で来ている割には、今ひとつ熱心さがないというか、僕たちの話を聞くばかりで、独自の提案をほとんどされなかった。見積もりはいつ出るか訊くと、一週間くらいはかかるということだった。

 ネットから直接見積もりを依頼したリフォーム会社からは、結局、何の音沙汰もないままだった。そして、リフォーム会社紹介サイトで紹介された12社のうちから、一番よさそうな一社に見積もりを依頼し、一週間後、現場を見てもらった。

 この業者には初めから予算を明らかにした。この業者、F産業の担当者は、システムキッチンやバス、フローリングのカタログなどを持ってきてくれた。提案力もあり、何より、熱心だった。一週間以上経っているのに、この時点で、まだ、不動産会社から紹介されたリフォーム会社からの見積もりは届いていなかった。したがって、そのようなことをする気はなかったが、一社目の見積もりをちらつかせて、それより安い金額を引き出すというようなやり方はできなかった。

 F産業の担当者と話しているうちに、もちろん、見積もりを見ないと結論は出せないわけだが、ここに依頼した方がいいように思えてきた。F産業は、自社で注文住宅も造っていて、技術力も確かなように思えたし、担当者が人間的に信頼できるように思えたのである。一通り見てもらい、クロス貼りのための寸法を測り終えた後、見積もりはいつくらいにもらえますかと訊くと「今週中には」という返事だった。

 現地調査を終えた後、不動産店に向かった。正式な融資の承認が下りたため、引渡し前の物件確認日と最終的な残代金支払い日についての打ち合わせをするためである。日付を決め、残金支払い日までに必要なことを訊いた。そのついでに、紹介されたリフォーム業者から、未だに見積もりが届いていないことを伝えると、担当者は驚いたようで、連絡しておきますということだった。後日、不動産店の担当者から、業者に至急、連絡をさせるとメールがきたが、いつまで待っても連絡はなかった。(2016.8.6)


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