年収200万円のパートでも、家は買えるか?

6.購入の申し込み

 初めての内見の翌週の日曜日、再び、980万円の物件を見に行った。築30年ということで、やはり古さが気になり、見てしまうと、「ここに決めた!」ときっぱりといえなくなる。しかし、これまでの経緯を考えると、僕たちが勝手に買えると決めた1200万円という予算の中では、恐らくベストに近い物件であることも確かだ。妻も納得していることから、帰りの車の中で、購入したいということを担当者に告げた。

 中古住宅を購入する場合の流れは、まず購入の申し込みを行う。この物件をいくらで買いたいか売主に不動産管理会社を通じて伝えるのである。この段階で、価格交渉が行われることになる。複数、申し込みがあった場合、売主としては、当然、高く買ってくれる買主の方と契約するだろうし、また、他に買い手のいない場合でも、あまり値切ると交渉がうまくいかないことも考えられる。したがって、購入希望価格をいくらから交渉するかということは、大変重要なことなのだ。

 不動産屋に着き、購入申込書に記入した。そして、購入希望価格をいくらにするかと担当者が訊いてきた。980万円の物件である。したがって、950万円が妥当かな?とも思ったが、思い切って900万円にした。「80万円引きとなると、ほとんど一割ですからねぇ〜」と担当者はやや渋り気味だったが、買うのは僕たちなので、まずはそれでお願いしますと押し切った。恐らく、900万円は拒否されるだろうが、強気にいくことで、950万円くらいになればいいと思ったのである。

 そして、いよいよ住宅ローンの本審査である。事前審査でOKをもらっている不動産会社と提携している住宅ローン専門の会社へ提出する書類に記入した。事前審査のときは、価格1180万円のテラスハウスだったが、今回は980万円の一戸建てである。テラスハウスと一戸建てということで、物件の価値は上がっているし、価格も1180万円から980万円と200万円も下がっていることから、まず、大丈夫だとは思うが、こればっかりは結果の出るまで不安は残る。

 懸念材料としては、今回の物件は容積率がオーバーしているところ、そして、物件の前面道路が建築基準法43条1項の但し書き道路となっていることだ。43条1項の但し書き道路とは、実際にはアスファルトで舗装された何処から見ても普通の道路なのだが、法的には道路の形態をした‘空地’になっている道路のことで、再建築をする場合には、行政の許可を得ないといけないのである。ただし、ここは、以前に許可が下りているため、再建築不可となる心配はないということだった。

 そして、一週間後の日曜日、契約ということになった。したがって、日曜日までに価格交渉が行われ、決定することになる。80万円の値引きを求めたわけだが、ゼロ回答ということもあり得るだろう。「もし、値引きなしだったら、契約はどうします?」と担当者に訊かれ、「その場合は考えたいので、連絡をください」といっておいた。ただ、心の中では、ゼロ回答だった場合、とりあえず950万円を提案して、それもダメだったら、980万円でも受け入れようと思っていた。(2016.7.4)


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