SMAP解散騒動

 国民的アイドルSMAPが解散という報道がなされ、騒動になっている。この騒動により、今まであまりみえなかった芸能界の深い闇が浮かび上がって来た。

 そもそも、SMAPというグループはあまりぱっとしないアイドル集団だった。歌も、ダンスも、うまいとはいえず、とても現在のような姿は想像すらできなかった。しかし、バラエティ番組に出演をするようになったのをきっかけに、6人(当時は、オートレーサーに転向した森且行さんがいた)の個性が際立って来て、何でもこなせるエンターティナーに成長していった。社長のジャニー喜多川さんは「ユーたちは、ジャニーズのドリフになりなさい」とアドバイスしたという。

 SMAPは、デビュー当時、専属のマネージャーが付いていない状態で、事務員をしていた飯島三智さんがマネージメントを買って出たそうである。彼女はメンバーの個性を見極め、戦略を立て、グループを育て上げていった。SMAP育ての親というわけで、ジャニーズの中でメンバーが最も信頼している人物なのだ。

 今回の騒動は、週刊文春のメリー喜多川さんへのインタビューが発端になったらしい。メリー喜多川さんは、ジャニーズの社長であるジャニー喜多川さんの実姉で、事務所の副社長でもある。SMAPと嵐の共演のないことから、記者は事務所内に派閥があるのではないかと勘繰ったらしい。派閥というは、飯島さんと嵐などのマネージメントをしているメリーさんの実娘のジュリーさんのことである。そのことを訊かれたメリーさんは困惑し、事実なら許せないこととして、飯島さんを会議室に呼び出す。

 会議室にやってきた飯島さんは、いい加減な噂が独り歩きしてジュリーさんも困っているだろうと、派閥などはないと記者にいう。記者が、「ではSMAPと嵐が何故、共演しないのか?」と訊くと、メリーさんがそれを引き取って、「だってSMAPは、踊れないじゃない?」と発言し、これが後々、尾を引くことになっていくのである。さらに、インタビューの続きで「もしジュリーと飯島が問題になっているなら、わたしはジュリーを残します。自分の子だから。飯島は辞めさせます」と発言し、二人の関係は一気に悪化していく。

 メリーさんの発言を知った、SMAPのメンバーは、ショックを受ける。飯島さんと事務所の関係も双方弁護士を通して、仕事のやり方を協議するような状態になり、飯島さんは退社を覚悟する。飯島さんの解雇に合わせSMAPのメンバーはジャニーズを離れ、行動を共にする決意をするのだが、木村拓哉さんはジャニーさんやメリーさんを裏切れないとして事務所に残ることを選択する。

 こうして、SMAPの独立は無くなり、事務所を去る四人のメンバーは厳しい状況に追い込まれることが想像できることから、飯島さんは、自分は芸能界から引退してけじめをつけ、四人に対しては事務所に残るようにいうのだが、今度はメリーさんが「はじめから事務所に残る選択をした木村さんと同列には扱えない」と難色を示しているというのが、現在の状況のようである。

 外から見ていると、SMAPはジャニーズ事務所の中心にいるようにみえたが、実は中心から、かなり離れた端に存在していたようである。メリーさんには、アイドルの理想像があり、SMAPの中でそれに該当しているのは、キムタクだけだともいう。SMAPを今日のようなグループに育て上げたのは、飯島さんの手腕によるところが大きかったのは事実だろうが、また、事務所が多額の投資をしたのも確かで、そのことを考えるとSMAPは事務所と飯島さんの合作ともいえる。成功したから、独立するという考えは、不義理といえなくもない。ただ、問題は、いつまで働けば、恩義を返したということになるのかということである。

 傍から見ると、これまでのSMAPの働きは、もう十分に事務所に育ててもらった恩義を返したようにも見える。あとは彼ら自身が自分で選んだ道を、進んでほしいように思うのだが、恩義を返したかどうかなどというのは、答えの無い話で、結局は当事者同士の合意ということでしか解決はできないし、また、芸能界というのは、キレイごとの通用する世界ではない。

 四人が独立ということになれば、事務所は共演NGやスキャンダルのリークなどで、潰しにかかるだろう。独立して、成功したという先例を残さないためである。現在でも、本人でしか知り得ないようなことが何故か発信され、情報操作が行われているようである。情報戦では常に強い方が勝つ。しかし、それが果たして真実なのかどうかはわからない。

 どう転んでも、もうSMAPは元のような状態には、戻れない。あとはただ、それぞれが活躍の場を持てることを祈るだけである。(2016.1.17)


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