「小野〜」
水曜日。
時は昼休み。
名前を呼ばれた和明は声のする方へ顔を向けた。
「何?」
声の主は、教室の後方にあるドアの前でこちらを向いていた。
「後輩くんが呼んでるよ」
「後輩?」
部活に入っていない和明に後輩と呼ぶような相手と言えば―
「秋月、くん…?」
とりあえず、ドアの元へ向かうと、やはりそこに居たのは華音だった。
「すいません。お呼び立てしちゃって」
「いや…どうしたの?」
華音は人好きのする笑顔を浮かべて、筒状になった紙を差し出した。
「ポスター、規定枚数分出来上がったので持って来ました」
「もう出来たの?すごいな…。でも、金曜日でよかったのに」
「一応早めにお渡しした方がよいと思って。先輩、もうお昼食べました?」
華音はそう言って教室を覗き込むと、和明が座っていた辺りを見やった。
「いや、まだ食べてないよ。これから買い出しにでも行こうかと思ってたとこ」
「それならちょうどよかった。よかったら、食堂ででもお昼一緒しませんか?」
「え?」
思ってもみなかった誘いに和明は一瞬戸惑った。
友達が居ないわけではなかったが、
昼休みも委員会の作業をすることが多い和明は、
基本的に1人で昼食を食べていた。
それを分かっているのか、特に誘ってくるクラスメートもいなかったのだ。
「あ、ごめんなさい。迷惑だったらいいんですけど…」
「あ、いや、そうじゃなくて…ちょっとびっくりしただけ。
財布持って来るから、待っててくれる?」
和明は慌てて弁解すると、財布を取りに席へと一旦戻り、
華音と共に食堂へと向かった。
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今回、ちょっと短めです;
続きがどうしても思い浮かばなくて…
Lu.umiにバトンタッチ♪
(2005/02/20 HINATA)