「俺がいなくなったらどうする?」
あいつの言葉が今更のように強烈に蘇ってくる。
あの時、あいつの出す微弱なサインに気付いてさえいられたら…
4.
「…なんだよ、いきなり」
一瞬、息が止まったかと思った。
それでも、冷静を装って聞き返す。
「いや、ちょっとの間、中居と離れてて思ったんだけどさ…」
「うん」
「俺は中居がいなくなったら生きていけないなぁ、って」
「…そう」
俺はそう答えるしか出来なかった。
それが精一杯だった。
「そっけないなぁ…まぁ、いいや。気にしないで」
木村はちょっと笑ってそう言うと、首筋に口付けてきた。
その刺激に俺は思考を一時中断する。
「きむ、ら…」
「ん?」
「いや…なんもない」
「何?」
木村が口の片端を上げて顔を覗きこむ。
「いじわる…」
「失礼致しました。では、ベッドまでお運びしましょうか、お姫様?」
「お姫様じゃない」
「はいはい」
木村は相変わらず意地の悪い笑みを口に浮かべながら俺を抱え上げると、寝室へ向かった。
「ん、やっ…きむらぁ」
「ヤじゃないだろ。きもちぃでしょ?」
「ちがっ、そんなことな…」
「そういうこと言ってると、本当にやめるよ?」
「やっ、きむらのばかっ、いじわる」
「お褒めに預かり光栄です」
数分後、いとも簡単に木村の手中に落ちた俺は、結局また木村の思うがままに鳴くハメになった。
「なかい、も、限界。いい?」
「ん、きて…」
「いくよ?」
「…あっ、ん…はぁ」
「なかい…」
「ん…やっ、はぁ、きむ…らぁ」
「なかい…好きだ」
「ん…俺、も…やっ」
「はぁ…なか、い…」
「きむら、もっと…」
「ん…なかい、なかい」
「きむらぁっ…」
「…っく」
「ん、やっ、あぁぁっ」
そして、俺は久しぶりに木村の腕の中で意識を手放した。
その後、俺は夢を見た。
やけに居心地のいい真っ白な世界に俺はいた。
その無の世界で、俺は木村の声を聞いた。
『中居…お前は平気だよな?』
その声はやけにリアルで―
『俺がいなくなっても、お前なら大丈夫だよな?』
そして俺は、何故だか胸が痛んだ。
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2003/5/11(HINATA)