「永遠」なんて信じない…つもりでいた
なのにいつの間にか俺は
あいつとの「永遠」を信じてしまっていた
ずっと一緒にいられるのだと
当たり前のように思い込んでいた





2.


「まだかな、木村」

楽屋のソファにもたれかかってつぶやいてみる。

他のメンバーはとうに帰宅し、自分の声が静かな部屋でやけに響く。

その空しい響にため息をつくと、そのままソファの上で丸くなった。

「何やってんだろ、俺」

そう、もう一言呟いて目を閉じようとした時、

ガチャッ

ドアの開く音が耳に飛び込んできた。

「おせぇよ」

「うわっ」

不意に声が聞こえてきて驚いたのか、

木村は目を見開くとドアに背を向けたソファから顔だけ出している俺を凝視する。

「何…やってんの?」

「何って、木村待ってた」

「え…何で?」

「送ってもらおうかと思って。たまには家来いよ」

「……」

その言葉に木村は一瞬黙り、宙を見つめた。

「あ、もしかして先約あった?」

「いや、先約っていうか…」

「何?用事?」

「いや……中居、明日オフ?」

「オフ…だけど?」

木村の意図するところが見えず、訝しげに答える。

「だったらさ、一度中居の家まで送って、

その後ちょっと用事あるんだけど、また家行ってもいい?」

「いいけど…用あるなら今日じゃなくてもいいよ。いつでも会えるんだし」

「いや、次いつ時間合うか分からないから」

「まぁな…じゃあそれでいいけど」

「悪いな。じゃ、とりあえず送ってくよ」

「うん。さんきゅ…」

やっぱり何かがおかしい気がする。

少し前を歩く木村の背中を見つめる。

いつもの木村のようだけど、どこか違う気がした。

「考えすぎかな…」

つぶやいて苦笑すると、木村が振り返った。

「ん?何か言った?」

「いや、何でもない」

そう、何でもない。

俺の思い過ごしに決まってる。

そう自分にいい聞かせて足を速めると、俺は木村と並んで歩き出した。

 

2003/4/12(HINATA)