「俺は神を信じない
信じることなんてできない
一体何がいけなかったというのか
俺からあいつを奪うなんて
あいつが俺の全てだったのに」

―あの頃の俺は世の中を、神を、全てを恨んでいた―





11.


「話って何?中居くん」

翌週、俺は全てを話す決心をしてメンバーを集めた。

収録が押して最後にやってきた慎吾が、ただごとではない気配を察したのか、そう急かす。

「そういえば、木村くんは?」

剛もそう聞いて、不安そうな顔をする。

吾郎だけは何も言わずに俺を見つめていた。

「ごめんな、急に。」

そう言って、俺はとりあえずみんなを座らせる。

「実は、話っていうのは木村のことなんだ」

そして、俺は話を始めた。

木村の病気のこと。

ずっと無理して通院で済ませていたこと。

入院せざるをえなくなったこと。

仕事は今後出来ないということ。

SMAPとして活動することはもう無理だろうということ。

全て話した。

3人とも、口を挟むことなく真剣に聞いていた。

そして、話が終わると同時に声を発したのは吾郎だった。

「やっと話してくれた…」

それは意外な言葉だった。

「吾郎…?知ってたのか?」

「薄々とね。木村くん、風邪にしちゃ長すぎるし。中居くんも態度おかしかったから」

「そっか…」

「でも、僕の考えすぎだと思いたかったけどね…」

「どうなるの…これから。木村くんがいないSMAPなんて考えられないよ…」

「うん。例え一緒に活動できなくても、木村くんにはずっとSMAPでいてほしい」

慎吾と剛が、そう言って俺を見る。

「俺も木村なしのSMAPはないと思ってる」

「なら―」

「でも、木村はやめるつもりでいる」

慎吾の言葉を遮って俺は続けた。

「"立つ鳥後を濁さず"―木村はそう言って笑ったんだ」

「そんなの…俺は嫌だ」

慎吾が強く言って立ち上がる。

「なら、直接俺が頼む。今から、木村くんに会いに行く」

「慎吾…」

「俺も、木村くんに会いたい」

剛も言って立ち上がる。

「剛…」

「中居くん、木村くんはどこの病院にいるの?」

「…分かったよ。俺も一緒に行く。吾郎も行くだろ?」

そう言って吾郎を見ると、何かを考えるように一点を見つめていた吾郎も立ち上がった。

そして、俺の目を見ると頷いた。

「当たり前でしょ。僕もSMAPのメンバーなんだから」

 

2005/2/26(HINATA)