これ、どうっすかなぁ…



中居はもらったカクテルの瓶を前にして悩んでいた。



カクテルなんて飲まないしなぁ



事実、こたつの上に置かれたその瓶は中居の部屋の中で異色を放っていた。



あっ、アイツなら飲むかも。



ふと、今夜来るであろう人の顔を思い浮かべる。



と同時に…



ピンポーン



チャイムの音が部屋に鳴り響いた。



あ、来た。



インターフォンには出ずに、直接ドアのもとへ向かいためらいなく開ける。



「おう」



そこには思ったとおり、よく見知った顔があった。



「おう、じゃないよ。相手確認してから開けろよな、危ないだろ」



「だって、木村だって分かってたもん」



「なんで?」



「なんでだろうな、分かんない」



そう言って中居は曖昧な笑みを浮かべる。



「まったく」



木村も思わず苦笑する。



「まぁいいじゃん、木村だったんだし。とりあえず入れば?」



立ち話しててもしょうがないし、と中居は木村を中に招き入れる。



「あ、うん。ただいま〜」



「ただいま、じゃないだろ」



「いいんだよ、中居のいるところが俺の帰る場所なんだから」



「…」



「ただいま」



「…おかえり」



「よくできました」



「なんだよ、それ」



いつものようにそんなことを喋りながら2人はじゃれ合うようにしてリビングに向かった。