「あれ?」



リビングに入るなり、木村が呟いた。



「ん?」



「いや、中居、カクテルなんて飲むっけ?」



どうやら、こたつの上にある瓶を目ざとく見つけたらしい。



「あぁ、それ。もらった」



「もらった?誰に?」



「誰って、酒屋のおじちゃんだけど」



「ふ〜ん…あ、"Between-the-Sheets"じゃん」



木村がその瓶を手に取り言った。



「何?木村、知ってんの?」



「うん、まぁ。何回か飲んだことあるから。これナイト・キャップだろ?」



「ないときゃっぷ?」



耳慣れない言葉に中居が聞き返す。



「寝酒のこと」



「あぁ。へぇ、そうなんだ。眠れる?」



「そうだな…ちょっと強いかもしれないけど。使ってる酒全部40度以上あるし」



「それは…ちょっとヤバイな」



「飲んでみる?」



「いや、でも…強いんだろ?」



「大丈夫。俺が介抱してやるから」



「それが危ないつってんだよ」



「うわ、ひでぇ。もっと信用しろって」



「信用して欲しかったら、それなりの行動しろっての」



そう言ってから



でもやっぱり飲んでみたくて



ちょっとだけ飲んでみようかな、って瓶を手に取って眺めてたら



木村がグラスを2つ食器棚から取り出して持ってきた。



「飲もうよ、せっかくもらったんだから。な?」



「そうだな」



木村の言葉に中居は大人しく瓶を渡した。