イタリアルネッサンス紀行

2002・8/3(土)〜8/11(日)




トスカーナ地方

塩野七生の随筆『男たちへ』を読んでいて、フィレンツェの街の銀食器の店の話が出ていた。それを昨年問題集作りの際に採用した。それにしても「ルネッサンス」ーなんという優雅な響きをもった言葉だろう。芸術の宝庫、イタリアに行ってみたい。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」、ミケランジェロの「最後の審判」をこの目で見てみたい。ウフィツィー美術館でラファエロやボッティチェリにも出会いたい。そこでイタリアに出かけることにした。



ミラノ イタリア北部のロンバルディア州の州都。ファッシヨンの都。
 イタリア旅行の幕開けは晴れ。幸先がよい。ミラノではまず、ヴィスコンティ家の城塞跡に建てられたルネッサンス期最大の宮殿、スフォルツァ城を訪ねた。続いてドゥオモ。現在修復中であったが、中ではミサが行われていた。周囲にはイタリア統一の功労者ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の名を冠したアーケードがあり、スカラ広場に続いている。ドーム型の天井は圧巻である。
ヴェローナ シェークスピア 『ロミオとジュリエット』の舞台となった小都市。
 ミラノとヴェニスの中間に位置する「真珠のよう」な美しい小都市、ヴェローナを訪ねた。世界一の悲恋の舞台となった都市だけに訪れる人も多く、市内の中心にあるエルベ広場は庶民的で活気に溢れていた。その南西には古代円形劇場のアレーナがあり、昨夜行われたオペラ「アイーダ」の道具がおかれていた。
ヴェネチィア 水の都、アドリア海に注ぐ河川が形成したラグーナ(潟)に出来た都市。150の運河と400以上の橋を持つ。
トスカーナの三都市 世界遺産ピサの斜塔・シエナ・尖塔の町サンジミニャーノ。中世が香る珠玉の町。
すごい集中豪雨に見舞われたが、ピサに着いたらやんだ。今年のヨーロッパは異常。第3層の建設途中で南東に傾き、修正しつつ建設されたが、毎年1oずつ傾き続ける。 シエナの町のカンポ広場。煉瓦が敷き詰められた広場は緩やかな傾斜があり、建物もカーブしていて、広場と一体感をなしている。右はプッブリコ宮殿。 美しき塔の町、サンジミニャーノ。太陽も少し西に傾き賭けた頃、14の塔がかつての貴族の忘れ形見として落日に輝きを放っていた。中世の街は哀愁を帯びていて好きだ。
フィレンツェ ルネッサンスの都。馥郁たる芸術の香を放つ、トスカーナの古都。
 まずウフィツィ美術館に予約を入れてあったので、待つことなくガイドについて入る。ボッティチェリの「春」「ヴィーナスの誕生」ラファエロの「ひわの聖母」など、メディチ家の収集した名画を鑑賞する。そしてドゥオモ(サンタマリア・デル・フィオーレ)・ヴェッキオ宮殿のダヴィデ像・アルノ川にかかるヴェッキオ橋を見て回る。昨日黄昏れ時にミケランジェロの丘から眺めたフィレンツェの街の幻想的な美しさは忘れられない。出来ればもう一日滞在してゆっくりとアンティークショップ巡りをしたかった。
ナポリ ローマ・ミラノにつぐ第3の都市。雄大なヴェスヴィオ火山を背景に、紺碧の海が広がる
今回の旅のもう一つの目的は、カプリ島の「青の洞窟」の神秘的なブルーに出会うことであった。ナポリ港から30分、水中翼船で島へ向かう。しかし、着くや波が高くて、小舟に乗り換えないといけないのだが、洞窟には入れないとのこと。しかたなく、アナカプリに変更になった。リフトに乗り、ソラーロ山に登り、そこからは島全体が見渡せた。午後からはポンペイ遺跡へ。紀元79年、一瞬のうちに灰の中に封印されてしまった街。古代ローマ人の生活の跡がしのばれ、道の曲がり角からは、今にもローマ人が顔を見せ、語りかけてきそうな世界をかいま見た。炎天下の白日夢のようであった。
ローマ 永遠の都。壮大な遺跡に、街角に3000年の時が重なり、揺れる。 
 永遠の聖都、ヴァチカン市国を訪れた。9億7000万人の信者を持つカトリックの総本山である。その一角に歴代の教皇のコレクションが集うヴァチカン美術館がある。庭の中央に円球のモニュメントがある。ミケランジェロの「ピエタ」を見て、地図の間を通り、ラファエロの間「アテネの学堂」を抜けると、お目当てのシスティーナ礼拝堂があり、ミケランジェロの傑作「天地創造」「最後の審判」を見ることができる。そしてサンピエトロ大聖堂へ向かうことにした。
 午後からはコロッセオに向かった。ローマは至る所に訪れる人々を魅了する遺跡があり、古の栄華の残照が輝いている。収容人数5万人。東京ドームに匹敵する大きさだ。そしてトレヴィの泉。最後はオードリー・ヘップバーン主演の「ローマの休日」の舞台になったスペイン階段に。ここで自由行動。横にあるカフェ・グレコは夏休みで休業。妻と正面に伸びるコンラッド通りのブランドショップ、ルイ・ヴィトンの店に入ることとなった。今回の旅はなかなか盛り沢山の旅であった。