8/21(火)・22(水)


くさり橋

 「ドナウの真珠」と呼ばれるハンガリー共和国の首都ブダペストは、イメージに反して明るく、自由な空気に満ちていた。人々も親切で、今回の旅の締めくくりとして私たちを温かく迎え入れてくれた。ヴァーツイ通りの散策もしたし、ドナウ河の遊覧もできたし、見所が一杯の旅だった。今テーブルにはアンティークショップで購入したヘレンド磁器の小皿があり、旅の思い出を優しく甦らせてくれる。


パンノンハルマ  ジェールの南東21キロにあり、ベネディクト会総本山。

 ウィーンを後にして、国境を越え、ハンガリーに入った。ジェールの街から30分。ベネディクト会総本山の大修道院が丘の上に建っている。パルノンハルマの修道院だ。996年の創立。19世紀まで建築が続いた。案内をしてくれた大学生とおぼしき女性はいかにも利発そうだった。ここから眺めた平原が、かつて地理で学習した「ハンガリー平原」なのであった。
修道院の壁のガラスのモザイク画 修道院から見たハンガリー大平原


エステルゴム  ハンガリーのカトリック総本山の大聖堂がある。

 ドナウ河の曲がり角にあたる古都エステルゴムは、初代国王イシュトバーン1世の生まれ故郷で、王国発祥の地である。彼が1000年に戴冠した聖堂は、12世紀に焼失したが、19世紀に高さ71.5メートル、直径53.5メートルのドームを持つ、新古典主義様式のエステルゴム大聖堂が建立された。ここからはドナウ河の向こうに、スロバキア国が眺められた。


センテンドレ  セルビア人の手によって完成した雰囲気のある街。

 センテンドレはオスマン・トルコの支配から逃れて住みついた、セルビア人がつくった街だ。街は入り組んだ石畳の道が続き、こぢんまりしている。ボグダーニュイ通りから中央広場までは300メートルほどで、両脇には民芸品店やアンティークショップがある。ハンガリアン刺繍の店も多く、カラフルで見ていて楽しい。セルビア教会をはじめ、教会建築と家並みの構図が美しい。


ブダペスト  「ドナウのバラ」と、その比類なき美しさを称えられる首都。

 英雄広場はペスト地区のメインストリートに、1896年にハンガリーの建国1000年を記念してつくられた広場。半円形に2つの列柱があり、建国にちなんだ英雄たちの像が並んでいる。建国の王、聖イシュトヴァーンや独立戦争の指導者コシュート・ラヨシュなどが並ぶ。
 ドナウ河の右岸、ブダ地区の丘に聳える壮大な宮殿。13世紀ゴシック様式で建てられたが、増改築を繰り返したためルネッサンス様式やバロック様式が混在する。第2次世界大戦でひどい戦禍をを受け、現在の建物は戦後建て直されたものである。王宮には美術館・博物館のセクションに分かれている。くさり橋のたもとからケーブルカーが発着している。王宮からはペストの街が一望できる。
王宮と同時期に建てられた教会。壮大なロマネスク様式で、ブダ地区のシンボルになっている。15世紀マーチャーシュ王が、自らの結婚式のためにゴシック様式の尖塔を増築し、以来マーチャーシュ教会と呼ばれている。実はハンガリーは「プロポリス」の産地でもあり、日本で何千円もするものが何百円という安価で購入できた。健康維持のため毎日飲み続けている。
 マーチャーシュ教会の向かいに漁夫の砦という奇妙な名前のネオ・ロマネスク様式の砦がある。19世紀の独立戦争の時、漁夫がここにたって街の防衛につとめたからついた名だという説がある。あまり趣のあるものではないが、要するに展望台の役目をなしており、観光客の記念撮影のスポットといった場所だ。
 ペスト広場のメイン・ストリートのヴァーツィ通りは歩行者天国で、脇道を入るとヘレンド磁器の店がある。またアンティークの店もあちこちにある。700メートルほどの通りの先に、ネオゴシック調の建物が見えてくる。中央市場である。一階は食料品、二階は衣料品と分けられており、とてつもなく広い。10500uもあり、観光客であふれかえっていた。
聖イシュトヴァーン大聖堂 マーチャーシュ王 マーチャーシュ教会
ゲレールトの丘よりブダペストを望む くさり橋の夜景