1998・3/25〜4/1
ノイッシュバンシュタイン城
ライン河畔リューデスハイムの朝は、鳥のさえずりと教会の鐘の音で明けた。ドイツロマンティツク街道とギリシアエーゲ海・アテネの旅の始まりだ。
ライン河をドライブ。両岸に点在する古城に目を奪われ、やがてローレライに着く。バスの中ではローレライの曲が流される。
その後、ハイデルベルクへと向かう。途中、日本ではまだ蕾だった桜がこちらではすでに花開いていた。今年は二度花見ができそうだ。ドイツ最古の大学都市をハイデルベルク城から眼下に見下ろす。写真でおなじみの詩情溢れる造形のハーモニー。
夕刻、中世の姿をそのままにとどめた街、ローテンブルクに入る。ブルク公園から赤レンガの宝石のような街並みが遠望できる。石畳に切妻屋根の家々、絵画のような街を昔の旅人の気分になってちょっと気取って歩いてみる。今夜は城壁のすぐそばのメルヘンティックなプリンツホテルに泊まる。食事を済ませ、添乗員さんに紹介してもらった居酒屋でフランケンワインを傾けた。比較的甘口の多いドイツワインの中ではやや辛口の私好みの味であった。
翌朝、ディンケルスビュール、アウグスブルクを経て、シュバンガウの白亜のノイッシュバイン城へ。まだあたりには雪が残り、マリエン橋からの美しい眺めには巡り会えなかったが、ホーエンシュバンガウ城の黄色との色彩美には惹きつけられるものがあった。
ミュンヘンへの途次、添乗員さんの粋な計らいもあり、世界遺産に指定されているフッセンのビース教会にも立ち寄れた。教会内部の宗教画のすばらしさには目を見張った。
その夜は、ミュンヘンのケラーでドイツビールとソーセージで乾杯、楽しいひとときを過ごした。
4日目はウィーンを経由してギリシア、アテネに飛んだ。2004年のオリンビックのロゴの入ったTシャツなどが売られ、ムードも上々だ。
そしていよいよ憧れのエーゲ海クルーズの始まり。ほとんどが日本人の観光客を乗せたジョージス号で、ポロス・イドラ・エギナの島を巡る一日コース。空と海のコバルトブルーに家々の白壁が眩しい。イドラで買った幸運を運ぶ「ざくろ」の陶製の置物が、旅の思い出を甦らせる。
アテネではギリシアの象徴パルテノン神殿を仰ぎ、2500年もの遠い時代の中に、現在修復中のクレーンの姿が見え隠れするという面白い光景に苦笑した。
最終日、フランクフルトでの乗り継ぎの時間を利用して、地下鉄で街の散策。ゲーテハウスにも立ち寄れたのは予想外の収穫であった。そしてお天気の女神が微笑み続けてくれた8日間の旅を無事終えた。
( 近畿日本ツーリスト・旅行雑誌『弥次喜多』1998年7月号掲載)