〜 アンジェリーク 〜

【幻 春 9】

 

 「・・・逝ったか」
 自分の本意ではなく、訪れることを余儀なくされた惑星で偶然出会った幼い少女。

 その少女がいつ果てるともしれない永い眠りへと就くのを、今、見送った。

 外界とは異なる時間の檻に囚われている己。
 一向に年をとる気配のない己の姿。

 少女はそんな自分をどう思っていたのだろうか。

 少女は蝶のようにごく短い時間で逝ってしまった。

 会うたび毎に美しく姿を変えていき、鮮やかに微笑んでいた少女。

 その優しい面影を胸に抱きながら、今宵もまた、いつ果てるともしれない闇のなかでしばし微睡むとしよう。

 

END

 

 
幻春8へ 幻春〜結び〜へ
アンジェリークTOPへ