〜 アンジェリーク 〜
「ねえ、おばあちゃん。あたし、お兄ちゃんに会ったの。何だか不思議な感じのするお兄ちゃん」 少女は病床の床にある祖母を見舞うかたわら、昨日出会った青年のことを話しだした。 「その人ね、とおっても背が高くて、とおっても優しい感じの人だったの」 まるでおばあちゃんが言っていた桜の木の精霊さんみたいな人だったよと、楽しげに語る孫を見つめる祖母の目に涙が光っていたことに、少女は気づくことはなかった。